兵庫県丹波市の大地亜紀さん(44)は、家庭から出るごみを減らしたいと、土にすむ微生物の力だけで生ごみを分解する「キエーロ」を庭に自作して約1年間使用している。キエーロは神奈川県の夫婦が開発したもので、生ごみを土と混ぜながら埋めるだけの処理方法。大地さんは、その良さを日々実感しており、「生ごみが本当に消えるようになくなる。臭いや虫など不快な点もほとんどない上、家庭ごみがかなり減った。ごみ減量が課題になっている丹波市でもっと広めたい」と話している。
大地さんと夫の岳紀さん(40)は、以前から環境問題に関心があり、亜紀さんは昨年、地域のグループでSDGs(持続可能な開発目標)の勉強会をしたことがきっかけで環境問題への関心が一層高まったという。生活で実践できる対策はないかと情報を集める中でキエーロを知り、岳紀さんが手作りして使ってみることにした。
キエーロは、土(黒土や庭土、畑の土)を入れたプランターを使ったり、土の上に木枠を設置したりするやり方があり、いずれも太陽光を通しやすい透明の屋根を付ける。屋根を斜めに取り付けて隙間を作り、風通しを良くすることがポイントだ。
大地さん宅では庭の土の上に約1メートル四方、高さ約50センチの木枠を用意。仕切りはしていないが、木枠の中を9区画に分け、ローテーションしながら生ごみを埋めている。
亜紀さんによると、「9日目には、前回入れた生ごみはほとんどなくなっている」。約1年間、土の量はほとんど変わらず、臭いや虫で困ったことはないという。また、微生物は油物や汁気を好み、廃食油も投入が可能。「維持費もかからず、楽しく続けられる。やらない理由がないほどいいものだと思います」と亜紀さん。
キエーロは、全国的に普及してきており、購入費の助成制度を設けている自治体も少なからずある。大地さん夫妻は、「丹波市は材料となる木も土も身近にある。市のごみ減量策としてキエーロの普及に取り組んでもらえたら」と話している。
また亜紀さんは、脱プラスチックや環境に優しい暮らしの実践を、インスタグラム(aki ohchiで検索)で情報発信している。