兵庫県丹波市春日町の石川綾子さん(37)は、高齢者らを対象に、爪にアートを施したり、ケアをしたりしておしゃれを楽しんでもらおうと、福祉ネイリストとして活動している。認知症予防に効果があるとされる「見る・話す・触れる・立つ」を重視した技法を取り入れ、心理療法も実践することで高齢者の脳の活性化につなげている。4日午前10時―午後4時、同町のカフェ「Cafe Marococo」で体験イベントを開く。
マニキュアや爪に絵を描くアート、爪磨きや甘皮処理、爪切り、肘から下のマッサージなどがメニュー。高齢者の負担を考え、最も時間がかかるマニキュアとアートでも計20分ほどで仕上げる。男性にも対応する。
心理療法の一つ「回想法」を取り入れる。石川さんによると、ケアをしながら昔話などを聞くことで古い記憶を呼び起こし、さらには爪が美しくなると新たな記憶が追加され、脳の働きが活性化し認知症予防につながる。これらを周期的に行うことで、認知症レベルが上がらなかったという研究結果があるという。
石川さんは「福祉ネイルを知ってもらい、認知症予防につなげたい。それが丹波の活性化になれば」と話している。
東大阪市出身。ネイルサロンに勤務したほか、10年ほど阪神間の専門学校で講師を務めた。結婚を機に、丹波市への移住を検討した際、高齢者の人口が多い市の現状や、これまでの経験が生かせる仕事をと考え、福祉ネイルの資格を取得。旧大西姓で活動している。
今年4月、自宅で日本保健福祉ネイリスト協会認定のスクール「necoputti」を開校。コロナ禍で施設訪問ができない中、福祉ネイリストの裾野を広げる活動に注力している。
イベントは、2000円でメニューを体験できる。2人以上の来場で500円引き。子ども向けにネイリストの仕事を体験する企画も用意している。