どこから来て、どこへ行ったの―。兵庫県丹波市市島町鴨庄地区の戸平トンネル近くの駐車場に8月中旬ごろ、鮮やかな色の羽を持つニワトリが現れ、地域の話題になっている。あまりにも人懐こく、車が駐車場に入っただけで走り寄ってくることもあり、誰かに飼われていた可能性も。地域住民が代わる代わる、様子を見守りに足しげく通っていたが、同月20日を最後に行方不明に。つかの間の心温まる交流の後、突然姿を消した珍客に「どこかで元気にしていてほしい」と思いを寄せている。
同町北奥側の駐車場。12日、同町内の男性(67)が同トンネルを撮影しようと現地に行くと、トサカは赤、羽はクリーム色や黒、濃緑などをしたニワトリがいた。雨にぬれた状態で、警戒していたのか、羽を立たせ、男性の足をしきりにつついた。
いったん帰宅したが、気になって再び見に行き、パンくずを与えると食いつきがよく、すぐに“仲良く”なった。自宅は犬などがいて保護できないため、同町内でチリ原産のニワトリ「アローカナ」を飼育する知人男性(74)に相談し、朝昼夕と代わる代わる様子を見守りに行くことにした。
知人男性は「クラクションを鳴らすと走って出て来るし、もうかわいくて、かわいくて。ただ、アローカナと一緒に飼うわけにはいかないし、通って見守ろうと思って」と話す。
ニワトリの種類は判然としないが、2人は羽の色から、尾の羽の長さが数メートルに達し、国の特別天然記念物に指定されている「オナガドリ」(高知県原産)ではと推測。鴨庄地区に現れたニワトリは尾が短いが、長尾鶏センター(同県南国市)によると、以前は長かったものの擦り切れてしまったか、オナガドリに他種の血が入った混血の可能性があるという。
行方が分からなくなった期間もあったが、20日に再び姿を現した。今のところ、その日を最後にまたもや姿を消している。
男性は「お盆の時期に現れたから、『具合よくせな』と思っていた。無事でいることを祈っています」と笑顔。知人男性は「愛着が湧いていたところ。いなくなって寂しいが、元気でいてくれたら」と話している。