兵庫県丹波市でロードサービスなどを手掛ける「岩崎クレーン」(岩崎哲男社長)が、トラックなどの中・大型車の事故車、故障車を、けん引搬送でなく、荷台に積んで走る搬送車を、兵庫県内で初めて導入した。荷台に昇降機能があり、車高が高い車を積めるほか、けん引ではできない高速道路の走行ができる。岩崎社長(72)は、「引っ張るより早く効率が良い『積んで走る』を実現するために作られた画期的な車。事故処理と搬送時間の短縮につながり、より満足度の高い顧客サービスが提供できる」と喜んでいる。
オーダーメイドレッカー車の設計製造、城南ホールディングス(山梨県甲府市)の「TRANSLOW」。シャシーはいすゞのギガ(23・5トン)で、全高2・87メートル、全幅2・49メートル、全長11・99メートル。最大積載量10・7トン。
事故車、故障車をけん引する場合は最高時速30キロでしか走れないため、最低時速50キロの高速道路は走れなかったが、荷台に「積む」ことでこの課題をクリア。また、道路法で積み荷の車高上限が4・1メートルと規制されており、保冷車など車高が高い車は積めず、けん引するしかなかったが、荷台が最大60センチ下がり、これらの車も積める。
さらに、けん引では1時間ほどかかっていた故障車のドライブシャフトを抜くなどの前準備が不要。荷台からスロープを伸ばし、ウインチで引っ張る。所要時間は15分ほど。大型ダンプも積める。
「片道1車線の道路で、トラックが道をふさぐと通行できなくなる。1分、1秒でも早く復旧することが渋滞の解消、2次被害防止に役立つ」と岩崎社長。故障した配送途中の保冷車を積み、そのまま配送先のスーパーまで運んだこともある。
近畿で6台目で、価格は3000万円。岩崎社長は「いろんな車を買ってきたけれど、これ以上のものはない。けん引していると、周囲の好奇の視線を感じるが、積んで走れるのでそれはない。『はやさ』が良い」と満足している。