ハーモニカ奏者 小嗣賢治さん(丹波篠山市)

2020.11.01
たんばのひと

小嗣賢治さん

ハーモニカで「愛の循環」

丹波篠山市内各地区の敬老会や介護施設などにボランティアで出向き、なじみのある「懐メロ」を中心に奏でるハーモニカ奏者。2017年には愛好家団体「ささやまハモヤンズ」を立ち上げた。さわやかなハーモニーでお年寄りたちの心を癒やしている。

関西大学を卒業後、主に自動車用コントロールケーブルの生産販売を手掛ける宝塚索導管株式会社に入社。13カ国に赴任し、63歳まで勤め上げた。

退職後、「待っていたかのように」母が病に伏した。妻と二人三脚で介護したが、2015年、天国へと旅立った。「母から『これからは好きなことをせえよ』と言われた気がした」

そんな頃、篠山チルドレンズミュージアムでハーモニカ奏者・岡直弥さんの演奏を聴く機会があった。楽譜が飛ばされるぐらいの強風が吹き荒れる日だったが、動じることなく暗譜する様子を見て「自分でも演奏できるかも」と思い立った。

ハーモニカ歴は5年。演奏技術の会得は全て独学だ。「ユーチューブ」(動画共有サイト)で演奏動画を見たり、インターネットで息の使い方や吹き方のこつを調べたりした。夕食後は自宅の部屋にこもり、夜11時ごろまで練習に没頭。「妻から『夫婦で語る時間がない』とお叱りを受けたときもありました」と笑う。

「ポケットに入れておけば、手軽にどこでも『オーケストラ』。吹き方を少し工夫すればマンドリンやバイオリンなど、色々な楽器の音が表現できる。奥が深い」と魅力を語る。

「演奏を聴いてくれた後、拍手をして喜んでくれる人が大勢いて、私自身が力をいただけている。『愛の循環』です」。79歳。

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