兵庫県立丹波年輪の里(同県丹波市柏原町田路)が主催するプロ・アマ不問の全国公募展「第33回丹波の森ウッドクラフト展(木のおもちゃ大賞展)」のジュニアの部で、同市内小学校5年生の大森春菜さん(11)が、3回連続となるグランプリ(文部科学大臣賞)に輝いた。今回、一般の部で父・栄司さん(52)が準グランプリに、母・恵さん(52)が佳作に入り、親子そろっての受賞。春菜さんは、自身の3連覇に驚き、「同じ材料を使っても、自分の発想一つで全く違った作品を作れるのが木工クラフトの面白いところ」と笑顔を見せている。今月末まで、全出展作品(75点)を同施設で展示している。
作品名は「ようせいのロケット工場」。3カ月かけて制作した。ロケット工場の“敷地”は、縦約80センチ、横約150センチ。工場内は、組み立て現場のほか、オペレーター室、休憩ホール、見学者を受け入れる展示室の4部屋に分かれる。3つに分割されたロケットが高さ約70センチのクレーンにつられ、数センチの妖精たちが、溶接をしたり、ねじを締めたり、部品を運んだりと忙しく働く様子を表現している。
ロケットは、竹箸を短く切ったもので外装を覆い、内装にはアルミホイルや壊れたビデオデッキから外した基盤を取り付け、ハイテク感を演出。小さな妖精は、木の玉やビーズなどを組み合わせて作り、ボール盤や電動ドリルを使って穴を開け、針金を通して手足を動かせるようにしている。
審査委員長を務めた彫刻家の磯尾隆司さん(同市柏原町)は、「発想の豊かさ、スケールの大きさ、細かく丁寧な仕事など、全てにおいて群を抜いていた」と評している。
大森さんは1歳の時に「かまぼこ板に線を2、3本なぐり書きしたような作品」で初出展。4歳の時、佳作で初入賞して以後、毎年順当に成果を挙げて8歳で念願の初グランプリを受賞した。
栄司さんは、「家族が一緒に熱中できるものがあることの幸せをかみしめています」と愛娘の頑張りを喜んでいる。