自民、公明両党の与党が絶対安定多数を確保し、日本維新の会の躍進が目立った今回の衆議院議員選挙。兵庫県丹波篠山市、丹波市を含む兵庫5区には、日本維新の会・新人の遠藤良太氏(36)=三田市=、立憲民主党・元職の梶原康弘氏(65)=丹波篠山市=、自民党前職の谷公一氏(69)=美方郡香美町=が立候補し、谷氏が7選を果たし、遠藤氏が比例復活で初当選した。丹波地域の有権者に、何を考えて1票を投じ、選挙結果をどう受け止めたのかを聞いた。
注目を集めたのは維新。丹波市の会社経営男性(60歳代)は、迷いつつも維新に入れた。「長く谷さんが議員をしているが、丹波では目に見えて良くなったことが感じられないのと、もう少し維新に力を付けてもらった方が国政のバランスが良くなると考えた」と話す。新型コロナウイルス対策に注目しており、「望むのは日常の回復。そして、停滞している日本の経済を、中国に負けないようにしてほしい」と注文を付けた。
顔が分かる自民の候補者に入れたという同市の主婦(40歳代)は、「子育て中だと、各候補者の主張を聞く時間を取りづらく、実績がある人に入れた」と述べた。同じく自民党に投じた丹波篠山市の会社員男性(40歳代)は、「野党にはさらに期待が持てないので、仕方なく」とこぼす。
コロナ禍だからこそ、投票に行ったという人も。同市のパート女性(30歳代)は、「長く選挙に行っていなかったけれど、コロナ禍もあって関心があった。維新に投票したが、決め手としては、自民でもない、立憲でもないというところ」と述べた。
一方、同市の会社員男性(60歳代)は、身近な地元候補を推した。「人柄も含め、地元から国会議員をと期待していたのに残念。維新の風がこんなに吹くとは思わなかった」と言い、驚きと悔しさを隠さなかった。
消去法で1票を投じたと話す同市の会社員女性(20歳代)は、「本当は誰にも入れたくなかった。自民党に入れるのは絶対に嫌だった。自民党政権を見てきて、何も変わらないのが分かっているから」と手厳しい。
無党派層の丹波市のパート女性(70歳代)は、「消去法で梶原さんと立憲民主党に入れた」と言う。「自民党は政治と金の問題を国民に説明しておらず、信頼できない。維新の遠藤さんは、どんな人なのかが全く分からなかった」と話した。