兵庫県丹波市は、国内でも稀有な地形「氷上回廊」と、その存在や魅力を発信している施設「市立氷上回廊水分れフィールドミュージアム」(同市氷上町石生)を市内外にPRしようと、スタジオジブリなど日本を代表するアニメーション作品の背景画家・美術監督として活躍する山本二三さんに「水分れのいま」をテーマに絵を描いてもらうなどの事業を企画している。事業費は、同市初のガバメントクラウドファンディングで調達を試みる。返礼品に、山本さんが描き下ろした絵画の高精細複製画などを用意し、12月27日まで寄付を広く呼び掛けている。
ガバメントクラウドファンディングは、自治体がふるさと納税制度を活用し、インターネットを介してプロジェクトに賛同した不特定多数の人たちから寄付を集めて資金を調達する手法。
ふるさと納税制度を活用するため、返礼品の受け取りは、丹波市民以外が対象となる。
山本さんは、宮崎駿監督の「天空の城ラピュタ」や「もののけ姫」、細田守監督の「時をかける少女」などの背景画を手掛けた。
市は昨年度、植野記念美術館で「山本二三展」を開いた縁で、山本さんに絵を依頼。山本さんは昨年11月に来丹し、すでに同ミュージアムの建物とその周辺の風景のラフスケッチ(線画)を描き上げている。今後、アクリル絵の具で彩色するなどして仕上げる。サイズはB4判で、完成した作品は同ミュージアム内に展示する。
目標金額は200万円。山本さんの制作費や返礼グッズの製作、同ミュージアムをPRするために開くワークショップや企画展に充てる。
返礼品は寄付額に応じて▽山本さん描き下ろしの絵画「水分れのいま」の高精細複製画8点(ロットナンバーと直筆サイン入り)▽同複製画をプリントしたトートバッグ▽同複製画をプリントしたクリアファイル&ポストカード―などを用意している。いずれも数量限定。
同市は、「山本さんのファンなど、新たな層にも氷上回廊の魅力を伝えることができるのでは」と期待している。