兵庫県丹波篠山市にある篠山東雲高校で食品加工などを学ぶ類型「フード・インスティテュート」を選択している3年生の2人が、酒かすを使ったお菓子を開発した。同校で栽培した酒米を使った清酒の製造過程で出る酒かすを有効活用。産業廃棄物となっている酒かすのことを、菓子をきっかけに広く知ってもらうことで使用量を増やし、廃棄をゼロにすることにつなげたいという。開発した菓子は、11日午後1時半ごろから「鳳鳴酒造」(同市呉服町)で販売する。
開発した菓子は、クッキーのような食感の「酒粕ボーロ」と、九州特産の和菓子から着想を得た「東雲の穂かるかん」。足立義知君と桐村龍慈君が、3年生が取り組む「課題研究」の一環で考えた。
酒米栽培を通して6次産業を学ぶ「日本酒プロジェクト」の一環で、2018年度から収穫した酒米を鳳鳴酒造へ出荷。その酒米を使った清酒は「東雲の穂」として販売されている。
清酒製造の副産物である酒かすは廃棄処分されるか、販売しても、購入者は高齢者層が多い現状を知った2人は、学校で学んでいる「SDGs(持続可能な開発目標)」に着目。広い世代に食べてもらえる菓子を開発することを思い立ち、試作を重ねてきた。
2種類ともに酒かすを生地に使用。酒かすの風味が強くなり過ぎないよう、だまがなくなるまで泡立て器でよくかき混ぜた。かるかんの生地には、市特産の山の芋も使用。あんには、学校の敷地内で拾った栗を使っている。
先月の東雲祭(文化祭)の模擬店で販売したところ、各約20個が、15分ほどで完売する好評ぶりだった。
2人は、若者の酒かすに対する認知状況を調査するため、鳳鳴酒造にアンケート調査を兼ねた販売実習を依頼。同酒造も快諾した。11日は酒かすを使った菓子に対する印象などを聞き取り、新たな加工品開発に生かす。
2人は「酒かすは美肌効果があると言われていて、健康にも良い。若い人たちにも目を向けてもらうきっかけになれば」と意気込んでいる。
かるかんは1個100円。ボーロは、5―6個が入った1袋を100円で販売する。