お客様を想像して仕事
今春から三田市にある洋菓子店「サントアン」でパティシエとして働いている。担当は焼菓子。「気候や季節、生地の状態などによって焼き加減が変わり、お客様に出せるストライクゾーンが狭い」と腕を磨いている。
篠山産業高校土木科出身。次の進路は、「好きなことを職業に」と考え、中学生から姉と作ってきた洋菓子が友人たちに好評だったことを思い出し、「人に喜ばれる洋菓子を作りたい」と一転、専門学校に進んだ。
2年間、基礎を学び、プロの道に。ウェスティンホテル大阪に就職し、3、4年目には宴会、婚礼のリーダーを担った。仕事に厳しいシェフのもと、「お菓子作りが楽しい」から「仕事が楽しい」に変わった。
シェフの交代を機に、「特別な日に関わりたい」と、結婚式場「MiaVia」(吹田市)で3年間、ウェディングケーキ作りを担当。飾りで使う「マジパン」や特注のケーキを作り、幅を広げた。
その後、ホテルなどにスイーツを卸す「シェルライン」(大阪市)へ。カステラやロールケーキなどを作った。「1日1000本のカステラを焼いたこともある。パートの方に分かりやすく説明することも勉強になった」
家を継ぐため昨秋、家族で帰郷。通勤圏内のサントアンに就職した。「食材や器具などへのこだわりや、コストよりもより良いものを追求する方針など、自分の中の意識も変わってきた」
「作業をこなすのではなく、誰に向けて作っているのかが大切だと思う。店頭に出ない分、お客様を想像して仕事をしたい」
よさこいチーム「丹波篠山楽空間」に所属。「コロナが収束し、早く練習したい」。31歳。