自宅の工房で木彫り教室
丹波年輪の里で木工指導員として33年間勤務し、今年2月末に退職したのに伴って、自宅にある工房で木彫り教室を開設した。「丹波の木工屋」といい、工房にある道具を自由に使って、自分の作りたいと思う作品づくりが楽しめる。利用者は約30人で、県内各地や大阪、京都府など、丹波市外の人が圧倒的に多い。「食のスポットなど、丹波の魅力を紹介するようにしています。交流人口の増加に一役買えれば」と話す。
工房は平屋の木造で延べ床面積は約90平方メートル。10年ほど前に1年かけて建てた。最大で8人を収容できる。もともと教室を開くつもりはなかったが、新型コロナウイルス禍で昨年の一時期、丹波年輪の里が休館になり、年輪の里に通っていた木工愛好家に人数を限って工房を使ってもらった。熱心に取り組む姿を間近にしたことも要因になり、工房を開放して教室を開くことを決めた。
アクセサリー、皿、盆、人形、カップ類など、自分の作りたいものが作れ、東浦さんがマンツーマンで指導する。「作るものはそれぞれの希望という教室は少ないと思います。それと、道具一式がそろっているので、自分で道具を買いそろえる必要がない。初心者が始めやすい環境になっていると思います」
1988年の開園時から丹波年輪の里で働いた。組織を離れ、今はフリーの身として木彫りを教える。「年輪の里の時とは違う日々を過ごしています。利用者の中には80歳を過ぎた人もおられ、学ぶ姿勢を持ち続けておられることに頭が下がります」。教室での指導のかたわら、家具などの注文制作も受けている。61歳。