山頂に国史跡・黒井城跡がある猪ノ口山の山腹(兵庫県丹波市春日町黒井)で、6―7世紀(古墳時代後期)のものとみられる円形の古墳が確認され、丹波市教育委員会は県教委へ遺跡(埋蔵文化財包蔵地)として登録準備を進めている。来年度中の登録を目指す。発見者で、同市教委文化財課学芸員の西岡真理さん(34)は、「市内には多数の古墳が見られるが、ここは今まで古墳が見つかっていなかったエリアで、しかも、久しぶりの新規発見。地域の新しい歴史を解明するための第一歩につながる」と期待している。
ヒノキの植林の中に、こんもりと盛り土がされた直径約7・6メートルの円墳が見られる。盛り土の高さは50―60センチほど。円墳の周囲には、盛り土をするために掘ったとみられる幅約3メートルの溝(くぼみ)が残っている。
円墳の中央には、縦約2・3メートル、幅約80センチ、最も深い所で約40センチの長細い穴が南北方向に開いている。「恐らく木棺を納めた穴でしょう」と西岡さん。「近くの稲塚(氷上高校の北西)からも古墳や窯跡が見つかっているので、その昔、この地域一帯にそれなりの権力者が暮らしていたと想像できる。土師器や須恵器などの遺物が見つかると、詳しい年代や周囲の古墳との関係性などが分かってくるので、今後、円墳周辺に土器などが落ちていないか観察していく」と話す。
同課によると、今回確認した古墳の周辺には、稲塚松嶋古墳(春日町稲塚)、稲塚大塚古墳(同)、兵主古墳(同町黒井)、兵農古墳(同)、くど古墳(同)などが点在している。市内には、小型の前方後円墳「二間塚」(同町多利)をはじめとする1113基の古墳が登録されている。