兵庫県丹波市の氷上町沼貫地区自治振興会が、高齢者や1人暮らしの人、体が不自由な人らを地域で見守ろうと、黄色い旗を自宅に掲げる見守り運動に取り組んでいる。「元気の証し」に朝、旗を出し、夕方に片付ける。旗が出ていない、片付けられていないときに、近所の人に声を掛けてもらおうというもの。改めて地域の連帯感が生まれることを期待している。
玄関、郵便受け、庭先など、毎朝、近隣から見やすい所に旗を出す。旗の出し入れに異変を感じた近所の人が安否確認の声掛けをする。体調不良の人を見つけたら、必要な支援につなげる。
昨年11月から地区全域で取り組んでおり、4月から先行実施した稲畑自治会では定着。「旗は、話し掛けるきっかけづくり。何もないと声を掛けづらいから」と、同自治会民生委員の男性(72)。
6人家族の女性(69)は、朝刊を取る時に旗を出し、夕方に片付ける。「旗が出ていると、安心する」。夫婦2人暮らし女性(72)は、「旗が出ていなくて、倒れているのを見つけた、ということは1度もないけれど、良い取り組み」と言う。
同地区が2019年度に65歳以上を対象に実施した「支え合いのまちづくりアンケート」で、緊急時、災害時の支援体制、家事支援、外出支援、高齢者の交流、居場所づくりなど、多くの課題が浮き彫りになった。これらを一足飛びに解決することは難しいが、何より、住民どうしが平時からつながり、互いを気に掛ける関係性を構築しようと、「旗運動」に取り組むことにした。
自治振興会長の男性(72)は、「かつて、『向こう三軒両隣』と言われたように、『思いやり、つながり、支え合う』。安心して暮らせるまちづくりにつながれば」と話している。