教科書から時代読む 明治時代の15点展示 欧米本を翻訳

2022.03.09
地域

企画展で展示されている明治時代の教科書=2022年2月10日午前11時51分、兵庫県丹波篠山市西新町で

武家屋敷安間家史料館(兵庫県丹波篠山市西新町)で、企画展「明治時代の教科書」(一般社団法人ウイズささやま主催)が初開催されている。安間家(あんまけ)に所蔵されている明治時代の小学校の教科書15点を展示。欧米の教科書を翻訳したものが多く、当時の時代背景や教育方針を垣間見ることができる。31日まで。

安間家当主は江戸時代、藩校で和算の教師を務め、教科書を印刷する版木の製作にも携わった。明治時代には学校教員となり、篠山小学校長を務めた。

企画展では、国語、理科のほか、そろばんを使う「珠算」、現在の道徳に当たる「修身」などの教科書を並べている。

同館によると、明治時代の小学校の教科書は、最先端の知識や技術を普及させようと、欧米の教科書を翻訳したものが多かった。そのため小学生向けにしては学習内容が高度で、教師が説明するよりも、ただ本を読ませて理解させるという教え方だったという。

「初学人身窮理 下」は、生理学の翻訳教科書。高度な専門用語には仮名が振られている。巻末には、おののくほどにリアルな骨格図が描かれている。

展示した教科書のそばには解説文も添えており、数学教科書「洋算早学 全」には、明治5年(1872)の学制の発令により、初等教育の数学で西洋の数学を取り入れたことを紹介。また、「ドル」の漢字には、江戸時代末期から「元」「員」「洋銀」などを当てていたが、明治時代以降、「弗」が用いられるようになったことも伝えている。

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