ありがとう、お巡りさん。さようなら、お元気で―。兵庫県丹波市の氷上駐在所で21日、異動で同駐在所を去る小寺龍之介巡査部長(33)に地域住民が感謝の気持ちを伝えるセレモニーがあった。丹波市立北小学校の児童や氷上区育友会(子ども会)のメンバーら十数人が集まり、小寺さんとの別れを惜しみ、門出を祝った。児童たちが小寺さんに花束や感謝の手紙を渡すと、「3年間、皆さんの力になりたいという一心で頑張ってきた。こんなことまでしてくれるなんて」と涙ぐみ、今春中学生になる6年生に対して「中学から自転車通学になる。ほんまに気を付けて学校へ行くんやで」と優しく語り掛けていた。小寺さんは、25日から神戸市の垂水署での勤務が始まる。
セレモニーでは、氷上区育友会が「おかげで(同会の)児童たちが安全安心に登下校ができ、平和な日常を送ることができた」などとつづった感謝状を贈呈。子どもたちも手紙と花束を手渡し、横一列に並んで「今までありがとうございました」と少し照れ臭そうに感謝の言葉を贈った。
小寺さんは、高速隊から2019年3月、妻の彩夏さんと当時3歳と2歳の息子を連れて着任。この3年間で現在1歳になる娘も生まれた。
「住民に寄り添う警察官でありたい」と、あいさつを心掛け、積極的に独居高齢者宅を訪問して「困り事はないですか」と、安否確認を兼ねた声掛けをして回った。「悔やまれるのは、昨年夏、町内の中学生が交通事故で亡くなられたこと」と声を落とし、「しかし事故後、『二度と同様の事故を起こしてはならない』と、大勢の住民が通学路の立ち番などに協力されている姿を見て、なんと結束力の強い地域だ、と感心した」と振り返る。
セレモニーに参加した6年生の赤井凱君は、「毎朝、立ち番をしてくれたおかげで安心して通学できた」と話していた。
同育友会の増田年則会長(47)は、「地域のこと、子どもたちのことを見守ってくれていることを感じられた優しいお巡りさん。クリスマス会などの地域行事にも参加してくれて、一緒に楽しめたことは良い思い出。新天地でも頑張って。また遊びに来てほしい」とほほ笑んでいた。