聖地のサクラ治療へ 三浦春馬さん「森の学校」に登場 ファンらから要望

2022.04.03
地域

治療作業が行われた「森の学校」に登場するソメイヨシノ=2022年3月29日午前11時49分、兵庫県丹波篠山市曽地中で

兵庫県丹波篠山市出身で、昨年逝去した世界的霊長類学者、河合雅雄さんの著書が原作となり、俳優の故・三浦春馬さんが出演した映画「森の学校」(2002年公開)に登場した、同市にある桜、ソメイヨシノが伝染病にかかっていることが分かり、治療作業がこのほど行われた。

同映画は昭和10年代の丹波篠山を舞台に描いた作品。同市出身の映画監督、西垣吉春さんがメガホンを執り、河合さんの少年期を三浦さんが演じた。

桜の木は同映画のシンボルともいえる木。樹齢約60年、高さ13メートルほど。映画のパンフレットには、この桜の木のイラストが描かれている。丹波篠山観光協会と市が制作したロケ地を紹介するパンフレットにも載り、多くのファンが聖地巡礼で訪れるようになった。

しかし、木の所有者はおらず、桜守の吉良勉さん(66)が見たところ、伝染病のてんぐ巣病に感染していることが判明。カビの一種「タフリナ菌」が原因で、竹ぼうきのように細かく分かれた枝が生える。症状によっては、幹が枯れてしまうという。

地域住民や三浦さんのファンらから治療を要望する声が市に届き、「河合先生と三浦さんにゆかりのある木。このまま枯れてしまうのはしのびない」と判断した。作業にかかる費用約12万円は市が負担する。

吉良さんのほか2人の造園業者が剪定作業を行った。木の形が変わりすぎないよう配慮した。はしごで登って感染している枝を切り落とし、断面に殺菌薬剤を塗布していった。

「来年になれば、切り口から枝が生えてくる。若返ったと感じるには3―5年ほどかかる」と吉良さん。河合さんとは親交が深く、「信州や岡山へ泊まりがけで一緒に桜を見に行っていた。人生経験が豊富で、審美眼がある方だった」という。森の学校に登場する桜の木の治療を手掛けることになり、「縁を感じる」と話していた。

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