山腹を点々と白く彩るモクレン科の落葉高木、タムシバが、兵庫県丹波地域のあちらこちらで見られる。
丹波市春日町野瀬の細見昭さん(90)によると、一昔前までは、春先、今のように山でタムシバの花がたくさん見られることはなかったという。「花が咲くようになるには25年はかかる。昔は、炭焼きの上げ木に使ったり、薪にするため、花を咲かせる樹齢に到達する前に切られていたからね」と話し、「私の家から眺める山のタムシバが一番きれいや」とほほ笑んでいる。
また、篠山自然の会会長の樋口清一さん(85)は、「多くの人がこの木を『コブシ』と呼ぶが、コブシは北方系の植物なので、丹波地域には自生しない。山にあるのは全てタムシバ」と話している。