高校の校則改正が注目を浴びる昨今。兵庫県丹波市の氷上高校で、校則の見直しを「公約」に掲げた生徒会長が当選し、新生徒会(14人)が主体的に改正に動き、このほど一部の内容が今年度から変更されることになった。アンケートを取って各クラスの意見を吸い上げ、教職員と対話するなど、見直しに向けて段階を踏んだ。単に自由を求めたのではなく、学校生活のルールでありながら、長らく変更がないことで生徒の安全・健康面やジェンダーの観点など実態に即していなかった部分を見直した生徒会役員は、「生徒の意見に基づいて作り上げたもの。自分たちで作ったルールなので、責任を持って守りたい」と話している。
各クラスから吸い上げた意見を生徒会で検証し、見直したい12項目にまとめ、校則を管轄する職員側の生徒指導部に要望した。うち、4月からの改正が決まったのは、▽かばんの自由化▽校舎内でも防寒着を着用してもよい(暖房がある教室以外)▽髪型「ツーブロック」を許可―の3点。また、制服は夏服、冬服を着る期間を撤廃し、「学校指定のものを着用する」としたことで、性別を問わずスカートやスラックスがはける「ジェンダーレス」にも配慮した解釈ができるようになった。
昨年、生徒会長選挙で当選した新会長(3年)は、「公約」に校則の見直しを掲げた。前生徒会の役員だった時から、「校則を変えてほしい」という生徒の声を聞いていたという。他校では許可されていることが、氷上高校では認められていないものがあったことに疑問を感じていたため、「改正の前例はなかったけれど、たとえ変えられなくても、多くの生徒の意見を集めて、先生に伝えたいと考えた」と話す。
新生徒会が発足し、早速、公約の実現に動き出した。各クラス委員長に生徒の要望を取りまとめてもらい、生徒会でふるいにかけた。新会長は「学校に対する文句ではなく、意見をまとめた」と話す。
特に意見が多かったのは、かばんの自由化。学校が指定するかばんは、実習や体操服を入れると目いっぱいになって重くなるため、自転車で通学する際の安全面を考え、要望として採用した。一方で「ピアスを開けたい」といった、学校生活に必要ないと感じた意見は却下した。
その上で12項目にしぼり、生徒指導部に投げ掛けた。職員は対応を協議し、生徒の要望は無理なものばかりでなく、社会的に見直しが必要となっている内容も盛り込まれていることから、変更を含めて協議。昨年、文部科学省が都道府県教育委員会に対し、社会や時代の変化に合わせて校則を見直すよう求める通知を出した背景もあった。
生徒指導部長がこのほど、生徒会役員に職員会議の結果を伝えた。「長年、先輩たちが変えられなかった校則を、手続きを踏んで見直そうとしたことが素晴らしい」と生徒の努力をたたえた。
生徒会のメンバーは、「疑問に思いつつ、守っていた校則もあった。全校生の意見を聞き、先生に伝えられたことが進歩。意見が通った部分もあり、ちゃんと守りたい」と話している。