兵庫県丹波市柏原町の山口和彦さん(68)が自宅の庭で70種類育てているバラが美しいと、近所の評判になっている。丹精込めて世話をする姿から、向かいにあるスポーツ施設の利用者の一部から「バラのおじさん」の愛称で親しまれている。「咲いたらきれいが、それまでの手間がなあ」と、色とりどりに咲き誇る花を愛で、楽しんでいる。
スポーツ施設のジムに通っている時に、自分が「バラのおじさん」と呼ばれていることを知った。
バラ栽培に不可欠の防除や施肥は当たり前。春先は、頭の重いバラの茎が、強い北風で折れないように風よけの壁をつくる。日が落ちてからでないと姿を現さない、蕾を食べる虫を、午後8時、9時に電灯で照らしつつ、1匹1匹手で駆除する。「夜に散歩している人には、不審者と思われているかもしれない」と笑う。
栽培歴は15年ほど。近所で咲いていたバラの美しさに心引かれた。インターネットの通信販売で、東は岐阜県、西は山口県から苗を取り寄せている。1品種1株ずつが基本で、好きな赤系が中心。
「ちょっと違ったもの」が欲しくなり、苗を買い足すうちに種類が増えた。「花を咲かせてみると、中輪のはずが小輪だったり、紹介文に書いていない、つる性だったり、ネットは写真と実物が合わない。安い苗は強く、高い苗は弱い」と苦笑い。「枯れたものもある」と、授業料をかなり払ったと頭をかく。
「どうやって見事な花を咲かせてはるのか、話を聞くのが楽しい」と、あちこちのバラ園に出掛け、消毒のタイミング、花を切るタイミングなど教えを請い、ネットでも調べて栽培している。
妻にこれ以上増やさないように言われているが「今年も3株買ってしまった。写真を見ていると、欲しくなって」と、無邪気な笑顔を見せた。