野生動物が農作物に被害をもたらす獣害の対策を通じ、地域活性化の方法を探る「獣がい対策実践塾」(丹波篠山市獣がいフォーラム実行委員会主催)が、兵庫県丹波篠山市でスタートした。4年目を迎える今年は、昨年に続き畑地区をフィールドに全7回の予定。初回が5月29日に同地区菅集落であり、参加者たちはサル用電気柵の設置を体験した。
今年度のプログラムは、サルの追い払いや獣害柵点検、野生動物の調査、ジビエの活用などの実習を予定。参加無料。
講師は、神戸大大学院人間発達環境学研究科准教授の清野未恵子さん、兵庫県立大自然・環境科学研究所教授の山端直人さん、NPO法人・里地里山問題研究所(さともん)代表理事の鈴木克哉さんが務める。
初回は、丹波篠山市内をはじめ、丹波市、西宮市などからも参加があった。篠山東雲高校、篠山鳳鳴高校の生徒、神戸大の学生らも参加。地元住民も協力し、総勢約40人で作業した。
サルに狙われていると所有者から相談があった畑の周囲で、約200メートルにわたって通電式防護柵を設置。気温30度に迫る暑さの中、下のすき間から動物が侵入しないよう、細心の注意を払いながら柵を張った。昼には、地元住民が手作りした、地元食材を使ったみそ汁やちらし寿司などに舌鼓を打った。
参加した齋藤正樹さん(47)は「農家の苦労は予想以上。人と動物の共存方法について学んでいきたい」と話した。みたけの里づくり協議会の岡本常博会長(70)は「若い子と接する機会も減っているので楽しい」と交流を喜んだ。