原風景「かや場」復活へ 有志らがプロジェクト 資源採取し外販も

2022.06.17
地域

 

「かや場」の復活を目指す「やまもりサーキット」内の草原。ススキがちらほらと自生している=兵庫県丹波篠山市遠方で

ススキやヨシなどが生い茂る「かや場」を復活させるプロジェクトが「丹波篠山キャンプ場 やまもりサーキット」(兵庫県丹波篠山市遠方)で始まった。かや場は、屋根ふきの材料や農作物の肥料となる貴重な資源を採取できる場だったが、今ではほとんど見られなくなった。プロジェクトでは、日本の原風景を復活させるとともに、採取したかやを、同キャンプ場に建てるツリーハウス作りに活用したり、内装業者などに外販したりすることを目指す。

森の暮らしを体験するイベントを催すサークル「草やまの草むら」(内田圭介代表)が、適度に人の手を入れることで景観を維持しつつ、利益にもつながる里山整備の新しいモデルケースになればと企画した。

ススキがちらほら自生する、同キャンプ場内の草原約2000平方メートルを活用する。数カ月に1回、草刈りや移植、植生観察など環境整備を体験するイベントを催しながら、参加者と共に数年がかりで復活させる計画。

プロジェクトの一つとしてこのほど、草刈りや植生観察を行った。神戸大の学生6人が参加。かやぶき職人の相良育弥さん(42)=神戸市=が講師を務めた。

セイタカアワダチソウなどの外来種や、ススキの生育に悪影響を及ぼす品種を鎌で取り除いた。また、学生たちは、自生していたイタドリを食べて酸味の強さを味わったり、ススキの葉に口を当てて音を鳴らしたり、自然の中での遊びも楽しんだ。

相良さんは「人が関わる環境の中で、田んぼの次に生態系が豊かな場所がかや場。アウトドアブームの昨今だが、いきなり山に行くのはハードルが高い。最初に自然に触れるトレーニングの場としては最適」と語る。

かやぶき、かや採取を含む「木造建造物を受け継ぐための伝統技術」は一昨年、ユネスコ無形文化遺産に登録された。近年、かやは屋根だけでなく、家具や内装などの材料としても需要が高まってきているという。

内田代表は「このプロジェクトを試験モデルとして、ゆくゆくは地域で使っていない土地もかや場に再生していければ」と話している。

18日午前10時―午後3時にはカヤの移植や定植を、19日午前10時―正午には杭打ちなどを行う。参加料金は3500円。8300円の追加料金でキャンプ宿泊も可能。参加対象は高校生以上。問い合わせは同サークル(info@kusayamanokusamura.com)。

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