通学路の「オアシス」に 下校時に冷茶用意 88歳男性「子どもは地域の宝」

2022.07.19
地域

「お茶、飲んで帰り」。休憩に立ち寄った児童たちと会話を交わす西脇さん=兵庫県丹波市山南町北和田で

夏の厳しい暑さが続く中、登下校時の児童たちを熱中症から守ろうと、兵庫県丹波市立和田小学校では通学路に複数の給水(休憩)ポイントを設け、日陰で喉を潤して休息を取りながら下校するよう促している。ポイントとして自宅を開放している同市山南町北和田の西脇春雄さん(88)は、「帰るまでにお茶がなくなったら大変」と、毎日、児童のために冷えた茶を用意し、「ただいまー」と立ち寄ってくれるのを心待ちにしている。

同校は、全児童192人中、片道3キロ以上を徒歩で通学している児童が32人いる(最長約3・5キロ)。市内の他校と比べても長距離徒歩通学となっているため、熱中症リスクを減らそうと、通学路上にある公民館や公園、消防詰め所など約10カ所を給水ポイントとしている。

曇り空だったが蒸し暑い一日となった13日、額に玉の汗を浮かべ、“通学路のオアシス”となっている西脇さん宅まで帰って来た2―6年生の12人は、日陰で風がよく通る広いガレージに入り、「あーあつぅ」と、水筒の茶を勢いよく喉に流し込んだ。

西脇さんは「しんどないか。お茶がなくなった子はおらへんか」と優しく話し掛け、「わしの家で漬けた、しそジュース、飲まへんか。すっきりするで」と振る舞っていた。

30分ほど休憩し、すっかり元気を取り戻した児童たちは、「ありがとうございました。さようなら」と頭を下げ、西脇さんも「車に気い付けて帰りや」と見送った。

6年生の男子児童は「おっちゃんとこで休むと疲れが取れてほっとする」、別の男子児童は「4年生のとき、熱中症になったことがあるので、給水ポイントがあるのは本当に助かる」と話していた。

西脇さんは、「コンクリートがひんやりして気持ちいいと、ガレージの床に寝転がる子もおってなあ。子どもたちが元気に通学する姿を見るのが楽しみの一つ」とうれしそうに話す。一方で、「夏の暑さが昔と違って厳しいから本当に心配」と眉をしかめ、「少子化の昨今、子どもはまさに地域の宝。みんなで育て、守っていかなあきません」と力を込めた。

市内他校でも、あの手この手の登下校時の熱中症防止対策を講じており、日除けの傘や冷感タオル、重くて背中の通気が悪いランドセルの代わりのリュックサックは夏の必需品になりつつあるよう。荷物軽減のため、「持って帰る必要のない学習用具は学校に置いたままでよい(置き勉)」としたり、マスクを外す(ずらす)ことや、小まめな水分補給を呼び掛けている。

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