地元の兵庫県丹波市氷上町の山でトレーニングを積むプロのトレイルランナー、中谷亮太さん(31)が、フランスのシャモニーを22日にスタートする世界最高峰のトレイルランニングレース「ウルトラトレイル・デュ・モンブラン」に初めて挑む。欧州アルプス最高峰の山「モンブラン」を駆け抜ける大会で、世界のトップ選手を含む約2500人が集結。山岳地帯を100マイル(約170キロ)走り、登る標高の合計「累積獲得標高」は1万メートルと過酷を極める。「厳しいレースになるが、トップ20を狙う。可能なら10位以内を目指したい」と高みを見据えている。
制限時間は46時間30分だが、24時間を切るタイムを目標に設定している。中谷さんによると、日本のレースにはない10―20キロ続く坂がコースに組み込まれており、「メンタル、ペース共に崩さず、淡々と進み続けることが鍵になる」とポイントを挙げる。
国内有数の大会で好成績を収め、2018年にはトップ選手も出場した富士山麓を走る大会「ウルトラトレイル・マウントフジ」の29歳以下部門で、日本人トップの成績により、今後の活躍が期待される「ニューヒーロー賞」に輝くなど、実績を積んできた。
200マイル(300キロ以上)のレースを得意とし、100マイルは決して苦手ではないが、「力を出し切れたことがない」(中谷さん)。トラブルなどで、一度ペースが崩れると上位陣に加われない距離と捉えており、「難しさもあるが、面白い距離」と話す。
夜間も走るため、睡魔対策として地元の山を夜中に走ったり、はやる気持ちが出るレース前半を抑え、後半に力を温存するような展開を意識してトレーニングを重ねたりしている。一方で「抑え過ぎても上位との差は開くばかり。その加減をどうするか」と言い、駆け引きの難しさと楽しさを感じている。高地対策として富士山麓での練習も重ねており、長い距離と激しいアップダウンの対策も兼ねている。
来年の秋には、活動拠点をスペインに移す。欧州の山々で力を向上させ、本格的に世界の頂を狙うという。「世界の壁を感じる大会にしたい。トップに上り詰めるために必要なことを知れたら」と話している。
中谷さんは自身のホームページで「応援チケット」を販売している。集まったお金を遠征費に充てる。支援者には、今大会のレースレポートを送る。詳細は「トレイルランナー中谷亮太」で検索を。