8月30日開会の兵庫県丹波篠山市議会本会議で、岡山・創志学園高校野球部元監督の長澤宏行さん(69)が「市スポーツ振興官」に就く補正予算が可決されたことを受け、同日、市は就任記者会見を開いた。酒井隆明市長のほか、市内のスポーツ団体、指導拠点校となる篠山産業高校の関係者ら14人が集まる中、長澤さんは「甲子園という夢を夢で終わらせないよう、努力していきたい」とあいさつした。
長澤さんはあいさつで、「丹波篠山で2校の県立高校が懸命に野球をやり、それが甲子園という夢の舞台につながるというのは、われわれの年代にとっては夢だと思う。夢を夢で終わらせないよう、一つひとつ努力していきたい。地域ぐるみの協力を得ながら、他のスポーツも頑張っていく。子どもが頑張ることによって大人も元気になる。こういう形になれば最高」と決意を述べた。
関係者らは「長澤先生と(篠山産業硬式野球部の)澤大輔監督がやりやすい環境をつくりたい」「夢の実現に向けて共に頑張りたい」「長澤先生の力を借りて、ソフトボールの人口も増やしていきたい」などと歓迎や期待の言葉を述べた。
長澤さんは、すでに篠山産業、篠山鳳鳴の硬式野球部の試合を見学し、戦力を分析している。両校が共に県大会に進むのは17年ぶりで、10日に開幕する秋季大会に注目している。正式就任は10月1日付。
◆記者会見一問一答 「命かけて頑張る」
兵庫県丹波篠山市役所で8月30日、長澤宏行さんの就任記者会見が行われた。テレビ局の取材も入り、関心の高さをうかがわせた。一問一答は次の通り。
―他にもオファーがあったと思われるが、丹波篠山市のオファーを受けた決め手は
確かにオファーはあったが、父の出身地の篠山で、私の力を何か出せるのであればこんな幸せなことはない。命をかけて頑張っていくのは、最後は篠山だと思っている。
―何から取り組む
これから社会を支えていく子どもたちのために、ソフトボールや野球を通じて、一つひとつ考えながらやっていきたい。一人ひとりと向き合って、私の考え方を伝えたい。
―丹波篠山のイメージは
避暑地で、田舎で、というだけのまちではない。強い発信力を持ちながら、全国のモデルになるような動きができれば幸せ。
―長澤さんにしかできないことは
ソフトボールや野球を通じて、子どもたちと接していく。親御さんたちとも子育ての話をしながら元気づけていくのがまず大事だと思う。一般的に、勝利や甲子園が大事にされているが、そうではないと思っている。
―具体的なスポーツ振興策はあるか
地域を巻き込んでいくことが大事だと思う。ソフトボールや野球の取り組みが、他の競技にも波及し、結びつき、指導者が少しでも変わっていってもらえたらと思う。
―篠山産業高は全県学区で、長澤さんを慕って遠くから生徒が来ると思われるが、有望な選手を呼ぶ考えは
電車を利用して生徒が来るかもしれないが、篠山の子どもたちが篠山に魅力を感じて、これからの篠山を発展させていくということをポイントに置くようにしている。来る者拒まずだが、今はまだ読めない。たくさん来てほしいが。