ハスのまちに 実・花・葉まで味わう 「見るだけではもったいない」

2022.09.14
地域

「蓮養生飲茶会」で並んだハスを使った料理の説明をする竹内さん(左から4人目)=兵庫県丹波篠山市川原で

丹波篠山をハスの町に―。兵庫県丹波篠山市味間南で薬膳料理店を営む中国出身の竹内美娜さんと、市内で「食」を通じた聴者とろう者の交流を進めている箕浦伸子さんが、篠山城跡堀のハスが名所として復活したことを機に、ハスの利用方法を提案する取り組みを始めた。増えつつある休耕田対策としても期待できるという。先月下旬には、福住地区でハスの花や実、葉を使った料理を味わう「蓮養生飲茶会」を初めて開き、交流サイト(SNS)の募集で集まった7人が初めての食感や味を楽しんでいた。

箕浦さんは「手話カフェ@ささやま」を主宰しており、市内で会場となる店舗を替えながら「手話カフェモーニング」を開いている。以前、会場となった「旨辛Lab.美膳香坊」を経営する竹内さんから、ハスは中国ではよく食べられることを教わり、まずはハスの実が採れるこの時期にと企画を立てた。

ハス料理と共に「住之江の庭」の眺めも楽しむ参加者

参加者たちは住吉神社(同市川原)の社務所の縁側で、枯山水庭園「住之江の庭」を眺めながら、ハスの実や葉を使った料理について竹内さんの説明を聞き、食事を楽しんだ。ハスの花を入れた生春巻きや、レンコンの入ったおこわをハスの葉で包んだもの、ハスの実入りの杏仁豆腐、ハスの実入りの豆乳プリン、美膳香坊の「黒豆辣油」をかけたレンコンと旬の野菜をはさんだバーガーなどが並んだ。

参加者はハスの実を取り出す体験もした。竹内さんが、実が詰まった花托に両親指を差し込み、花托を傷付けずに実を取り出すと、参加者らが感嘆の声を上げていた。茶色や緑色の表皮をめくると白い実が現れ、苦みがある緑色の芯(胚芽)を除いて食べると、「少し甘みのある落花生のような味がする」と、初めての味を楽しんでいた。

参加した酒井恭子さん(同市初田)は「ハスを食べるのは初めてで、興味があり、参加した。優しい味がして体に良さそう」と笑顔。箕浦さんと竹内さんは、「お堀のハスが広がり、見るだけではもったいない。今後もハスの利用法をPRしていければ」と話していた。

関連記事