亥(い)の月の亥の日(11月6日)に合わせ、兵庫県丹波篠山市川原地区で5日、主に西日本で見られる伝統行事「亥の子(いのこ)」が行われた。地域の子どもたち6人が、家々を巡っては「亥の子歌」を歌いながら、わらで作った槌(つち)「ペッタンコ」で地面を叩き、無病息災や家内安全、子孫繁栄を祈った。
稲の収穫が終わる時期で、収穫の祝いと感謝の意味もあり、この日に田の神が山に帰るとされている。亥の子は市内の村々で行われており、同地区では数十年ぶりの復活となった。
子どもたちは、各家々へと出向き、「亥の子のぼたもち 祝いましょう かねはわくやのじんおみさん お神酒を供えて祝いましょう そらもうひとつおまけに祝いましょう」と独特の歌を歌いながら、元気に地面を叩いた。村々によって槌の名前や亥の子歌にバリエーションがある。
住民たちは子どもたちの姿に目を細め、「ありがとう」「ご苦労様です」などとねぎらいの言葉をかけたり、合いの手を入れたりし、お礼の祝儀を手渡した。
女性は、「コロナ禍で行事が少なくなる中、子どもたちの声が聞こえると地域に活気が出ますね」とほほ笑んでいた。