吉見診療所(兵庫県丹波市市島町)の野上壽二院長の妻、祐美子さん(58)=大阪府=が、食べ物をモチーフに6分の1程度の縮尺で制作したミニチュア作品15点を、みなと銀行柏原支店(同市柏原町柏原)で展示している。ミニチュアの世界に親しんで15年。これまで同診療所の受付窓口に飾ることはあったが、公の場で展示するのは初めて。イチゴにキウイ、バナナなどの果物をはじめ、ケーキやステーキ、フライドチキン、弁当、駄菓子など、その全てが指先ほどの大きさしかない。野上さんは、「リアルさを追求しているので細かいところまで見てもらえたら。ガリバーになった気持ちで小さな世界を楽しんで」と話している。
作品はそれぞれ、7センチ角の透明樹脂ケースに納められている。作品があまりに小さいため、虫メガネが置かれている。
爪の大きさほどしかないショートケーキの断面に注目すると、ナイフでカットしたときにできるスポンジが上下につぶされた雰囲気を再現している。フライドチキンの衣の表面に付いているスパイスの粒感や、牛肉の脂のサシ、ドーナツにまぶされた砂糖も見事に表現。3×4センチの弁当箱に、すしや刺身、えび、高野豆腐などのミニチュアが整然と詰め込まれている。
ミニチュアの材料は、樹脂粘土や紫外線を当てると硬化するレジンなど。粘土にアクリル絵の具を練り込んで着色し、細やかな指、ピンセット、つまようじ“さばき”で作品を仕上げている。高野豆腐は化粧道具のパフを用いているという。
子どもの頃から小さい物に興味があり、グリコキャラメルのおまけをせっせと集めたタイプという。15年前、自宅そばの百貨店で毎月1回開設されている教室に通い始め、すぐにはまった。
「どんなにたくさん作っても、作品が小さいのでかさばらないのが良いですね」とほほ笑み、「ただ欠点もあって、例えばお好み焼きやケーキを作ると、本物に近付くように制作するので、完成後はそれらを食べたくなってしまうのが玉にきず」と笑った。