8日正午ごろ、兵庫県丹波市氷上町稲畑の2階建ての倉庫の屋根に、真っ赤な風船のようなものが引っかかっているのを家人の女性(66)が見つけた。丹波署員が回収し、落とし物として預かっている。中国通によると、日本の開店祝いの「花輪」に相当するもの。漢字の簡体字から、風船は、中国から飛んできたと見られる。同署で保管し、持ち主が現れない場合は、処分される。
直径1メートルほどの真っ赤な風船に、幅30センチ、長さ3メートルほどの幕が付いていた。幕には、中国語の簡体字が書かれていた。
北京に住んでいた市内の男性(42)に、日本語の漢字に置き換えてもらった。「佟広東恭賀冰雪娯楽城開業大吉」。男性によると、「佟広東(トーングワーンドーン)」は人名。「恭賀(ゴーンホーァ)」は、「お祝いします」。
「冰雪娯楽城(ビーンシュエユイローァチュヨン)」が雪や氷のテーマパーク、もしくはスキーやスケートなどウインタースポーツが楽しめる施設。「開業大吉(カイイエダージー)」は、「開業めでたい」の意。
風船の贈り主は、佟広東さん。贈られたのが、冰雪娯楽という施設。中国では北京以北で雪と氷の絶景が楽しめるが、屋内施設の可能性もある。幕に地名の記載がなく、特定に至らなかった。
「落とし主が、贈った佟広東さんなのか、贈られた施設のオーナーなのか分からないが、日本で落とし物として扱われてるとは思ってもいないだろう。紛失した意識すらないと思う」と笑っていた。
発見者の女性は「恭賀と大吉は読めた。正月のお祝いか、何かめでたいことなんだろうとは思った」と言い、「自分ではどうすることもできないので、警察に持って帰ってもらえて良かった。びっくりした」と話していた。
大分県別府市に類似アドバルーンが飛来した例があり、黄砂やPM2・5といった微細な物に限らず、風に乗れば風船も1000キロ離れた中国大陸から日本に飛来する。