兵庫県丹波市山南町草部の製缶業「タケイチ工業」(小堀健一社長)が建築用補強具を開発し、意匠権を取得した。建物の倒壊や家具が倒れるのを防ぐステンレス製の金具で、190度の範囲でどんな角度でも固定できる融通性が特長。同社は、「取り付け簡単。プロはもちろん、一般の方にも使ってもらい、災害時の備えにしてもらえれば」と話している。一般発売に向け、準備を進めている。
商品名は「ステプロ」。既存のL字金具は90度の角度でしか固定できないのに対し、同商品は、胴体部分の左右に取り付ける「腕」に相当する部品が動く。人の肘が可動域内であれば任意の角度で動くのと同じように、任意の角度で固定できる。これにより、傾いた柱と梁を固定でき、つっかえ棒を入れづらいたんすと天井、壁の狭い空間でも30センチ程のすき間があれば差し込み固定できる。
「両腕」を伸ばせば、板同士が接続でき、避難所などで任意のサイズの壁が容易に作れるという。胴部分の幅が5センチと2・5センチの2種類を用意している。5センチサイズで1個5000円以内に収める予定で調整中。
東日本大震災後に、「建築から年数が暮れるとひずみが生じる。ひずみに対応する金具で倒壊防止に貢献しよう」と、角度の融通が効く金具を開発し、昨年末にようやく意匠登録にこぎつけた。「シンプルなものだけに、難しかった。8年もかかった」と小堀健夫会長(62)。
小堀社長(34)は、「地震対策のために開発したが、DIYにも使える。『ステプロ』が1つあれば、犬小屋の三角屋根の山部分が作れる」と、開発時にはなかった利用方法も提案したいと考えている。