下級生のヒーローに 学習・学校生活両面を支援 卒業控えた6年生が奮闘

2023.03.01
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5年生にスタディーレスキューと銘打った個別指導を行う6年生=2023年2月10日午後1時14分、兵庫県丹波市山南町谷川で

兵庫県丹波市立久下小学校の6年生(22人)が、下級生の学習・学校生活の両面を支援する取り組み「THE HERO SHOW(ザ ヒーロー ショー)」を展開している。下級生や教師から支援依頼を受けると、朝の始業前や休み時間を使って勉強を教えたり、5分前行動の声掛けや給食の食缶返却の見守りをしたりと生活面もバックアップ。3月下旬に卒業を控えている6年生たちは、これまでお世話になった学校への恩返しの気持ちを胸に、最高学年として下級生たちのヒーローになろうと、日々奮闘している。

児童会行事の位置付けで、2学期から実施。6年生の担任、山田晃教諭(37)が、前任校で行っていた取り組みを継続したいと提案した。縦割り活動による絆の強化や、「教える」活動を通して、6年生自身に指導スキルと日々の学習に目的意識を持たせること、「人の役に立てている」という自己有用感や自尊感情の向上などが狙い。

特に4、5年生に対しては、「STUDY RESCUE(スタディー レスキュー)」と銘打って、毎週金曜日の昼休みに算数、社会、国語、理科、英語の5教科の個別指導を行っている。

勉強を教えてほしいときには、自分で申し込み用紙に、教科や内容などを記入し、備え付けの箱に投函。回収後、対応する6年生は質問の内容を把握し、金曜に備える。

先月10日には10人ほどの5年生に対し、6年生が十数人集まり、マンツーマン以上の手厚い指導が行われた。国語の漢字の書き取り指導の際、「枝」という字が思い浮かばない5年生に対し、6年生が「枝は、どこに生えとる?」と投げ掛け、「木に生えとる」と返すと、「だからまずは木偏やろ」と指導。すると5年生はひらめいたようで、「分かった」と声を張り上げ、すらすらと「枝」の文字を書いて見せていた。

算数の図形問題では、用意した小さなホワイトボードに図形を描きながら丁寧に解説していた。

熱心に教えていた6年生は、「どういうふうに教えればより理解してもらえるか。教え方にも工夫が必要だということを実感している」と言い、「これまでは自分の意見を簡潔にまとめて発表することが苦手だったけれど、ヒーローの取り組みを始めてからは、考えをきちんとまとめて話せるようになってきた」とほほ笑んでいる。

「大勢の前だと聞きづらいことも1対1なので尋ねやすい」と笑顔だった5年生は、「4月からは教える側になるので、下級生に優しく教えてあげたい」と話している。

このほか、各学年の担任や教師の手が足りないときにも“ヒーロー”は登場する。教師らが事前に配られている派遣依頼チケットに、支援してほしい内容や実施日時、必要人数などを記入。受け取った山田教諭が対応できる児童を募り、担当する6年生は、担任や依頼した教師と事前打ち合わせを行った上で実施日を迎える。

これまでに5分前行動の声掛けや給食の食缶返却の見守りのほか、タブレットの入力補助や九九の暗唱の聞き役、自主学習ノートの作り方の指導、百人一首の暗記の支援などに対応している。

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