兵庫県丹波市内の農業者の優れた取り組みを顕彰する「丹波農業グランプリ」が3日、同市立春日文化ホールであった。10回の節目となる大会のテーマは「丹波の農地を守る」。3社が審査員を前に発表し、グランプリに、自社で米を栽培し、卸もする「まるきん農林」(同市青垣町中佐治、堀謙吾社長)が輝いた。
堀社長(55)は、同社が中心経営体を担う青垣町中佐治地区の、農地の集積、集約の取り組みを紹介。話し合うことの大切さを説いた。
1993年に約46・5ヘクタールを管理する土地改良組合が発足し、話し合う場ができた。その後、「人・農地プラン」を策定し、個人11人と同社を農地面積60・3ヘクタールの「担い手」にしたことを紹介。組合発足時は、32人の耕作者があった。
地域の役員を積極的に引き受けたり、日々の作業を丁寧に行ったりという地道な取り組みを積み重ねたことで地域の人から信頼され、10年で同社分だけで約6ヘクタールの集積ができた。耕作者の話し合いによる交換で“歯抜け”になっていたほ場がつながり、作業効率が上がったなどと報告した。
グランプリ受賞に堀社長は、「地域一丸で取り組んだ成果が評価され、大変うれしい。今後も耕作放棄地を出さないよう地域で努力したい」と喜びを語った。
準グランプリは、耕作放棄地を農地に再生し生産規模を拡大している株式会社「CKF」(同市春日町新才、荻野一馬代表)、県立氷上高校生が選ぶ「夢の農業賞」と審査員特別賞には、水稲と和牛の繁殖が主力の「ひょうたん農場」(同市市島町中竹田、須原隆一社長)、新人賞には、慣行農法の水稲と、農薬と化学肥料を使わずに丹波大納言小豆や丹波黒大豆を栽培する「丹波わっしょい農園」(同市春日町多利、中川清二さん)がそれぞれ選ばれた。
1回目から審査員を務める中塚雅也審査委員長(神戸大農学部教授)は、「丹波の農業は多彩。日本を支える農業は丹波から」と講評した。
丹波大空の会、市認定農業者会、市有機農業研究会の3者でつくる実行委員会(婦木克則代表)の主催。共催の氷上高校の就業講座でもある。