湖面からでないと見えない景色を見てみませんか―。兵庫県丹波市市島町与戸の山際にある農業用のため池「永郷池」で、アウトドアスポーツのカヌー、カヤックが楽しめる。隣接する「キャンプリゾート森のひととき」の利用客を中心に野外活動好きが年間2000人以上、心地よい時間を過ごしている。
「TANBA OUTDOOR ECOLOGY」(代表・本庄健吾さん)が、地元から池の利用許可を得て2021年から「森のカヤック」と銘打ってサービスを提供している。本庄さん(45)=丹波市=は、沖縄・西表島のカヤックを含む自然体験にはまり、自然の魅力を伝えようと、日本カヌー連盟ジュニア指導員資格を取得し、開業した。
「船に乗って楽しむだけでない感動を持って帰ってもらいたい」と本庄さん。鳥や魚、樹木などの説明をしながらパドルをこぐミニツアーは、説明と乗船時間込みで約50分。卵からふ化したばかりのカモの仲間や、湖畔のあちこちに産み付けられるモリアオガエルの卵、湖面にせり出したクリの木のトンネル、秋のクヌギの紅葉、雪景色の五台山など、季節によって違った感動があるという。
「風が枝を揺らす音と鳥の声くらいしか聞こえない静寂がある。流れがないので安全性が高く、おじいちゃん、おばあちゃんが孫と乗船、といった楽しみ方もしてもらっている」と本庄さん。
地元の理解で事業が展開できている。水がめを汚さないよう気を配っており、毎月、水質検査の結果を地元に報告している。「水がきれい。この水で育った米はおいしいので食べてほしい。丹波市の観光の役に立てたら。池の端から振り返って見る五台山がとてもきれい。丹波の人にも見てもらいたい」と話している。
6月頃から小中学生向けのカヌー教室を開く予定。料金は1艇(1―3人乗り)当たり4000円から。詳しくは「森のカヤック」で検索を。