地域の「いきもの」小冊子に 「いっぺんいってみよか」に 親子も作成に協力

2023.07.10
地域自然

「丹波篠山のいきものたち―ささっ子編」(写真下)と編集に関わった親子ら=兵庫県丹波篠山市北新町で

兵庫県丹波篠山市は市内に生息する生き物たちを紹介する小冊子「丹波篠山のいきものたち―ささっ子編」を作成した。見られる季節や場所、希少さを表す「レア度」を表示するなど、子どもたちの関心を誘う仕掛けも。通称を「いっぺんいってみよか!」としており、子どもも大人も本を手に野外に飛び出し、豊かな自然を感じてもらいたい考え。作成には生き物に関心が高い親子にも関わってもらった。親子らは、「生き物や自然からは命の大切さ、たくましく生きる力を学べる。本を通して、生き物好きの子どもたちが増えてくれたら」と期待している。

縦18センチ、横10センチで、持ち運びやすい新書版サイズで、オールカラー80ページ。市内にすむ魚や虫など計80種を掲載し、漢字にはルビをふった。

生き物の説明や市内での呼ばれ方のほかに、▽季節▽捕まえ方(素手、網、トラップ)▽場所(渓流、田んぼ、町なかなど)―のアイコンや、3段階のレア度も添え、一目で分かる工夫を凝らしている。遭遇した際の注意点やポイントも載せた。裏表紙には15センチまでの目盛りを付け、実用性も高い。

例えばレア度3の蝶「オオムラサキ」は、季節は春と夏、場所は木の周りや草地、捕まえ方は素手か網で、「樹液を餌にするので、カブトムシと一緒に食事をしていることがあるかも」などとした。

ごみの持ち帰りや複数人で行くこと、むやみにたくさん捕まえないことなどの「観察の約束」も提示。水路に落ちたカエルを見つけたら救うことや、ツバメに軒先を貸してあげるなどの環境に配慮した行動も呼びかけ、外来種や絶滅危惧種の話題にも触れている。

市は好評だった「丹波篠山ロマン街道」の生き物版「丹波篠山のいきものたち」を、より子どもの視点に合わせた内容にしようと企画。編集委員となった子どもたちの目線も取り入れて編集した。

原田陽さん(城南小3年)と参加した母の舞さんは、「一緒に生き物探しをする中で、自然がすごくありがたいなと思うようになったし、ここでの子育てが楽しい」とにっこり。「大人向けの図鑑は重く、この辺りにはいない生き物が載っていたりするけれど、今回は持ち運びやすく、丹波篠山に特化した本。これを持って親子で出かけてもらえたら」と期待する。

小学生の頃の自由研究で篠山川のウナギを追ったことなどをコラムで執筆した松村湊平さん(福知山成美高校1年)は、「調べる中で、『昔はいろんな魚が捕れた』と聞き、丹波篠山の環境にも触れることができた。これからの時代を担うのは僕たち。魚の種類が減っているので、昔はいっぱい魚がいたことを伝えていかないといけないし、魚がすみやすい環境になってくれたら」と話していた。

母の京子さんは、「子どもをただただ追いかける親だったけれど、一緒に遊んだ時間が貴重だった」と目を細め、「見つけることが難しくなった生き物もいるが、環境を守れたらまた出合える。この本が自然環境を知る材料になれば」と話していた。

冊子は2000部作成。各学校園に2部ずつ配布した。希望者には市農村環境課や各支所の窓口などで配布している。市のホームページからもダウンロードできる。

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