兵庫県丹波篠山市郡家にある「丹波篠山市場」で5日午前9時―午後1時、4回目となる「市場まつり」が開かれる。今回は好評の軽トラ市のほか、初めて「模擬競り」を開催。誰でも参加でき、お得な価格に設定した品物を“競り落とす”体験ができる。同市場は、「軽トラ市も競りもどちらもお得。地場の新鮮な野菜や市場の雰囲気を味わってもらえたらうれしい」と来場を呼びかけている。
目玉の模擬競りは午前11時半から。桃やスイカなどの果物、海鮮加工品などを競りにかける。「競り人」の井関智晴さん(31)が、通称「めんめん棒」を手に競りを取り仕切り、参加者はオークション形式で入札する。
井関さんは、「市場の雰囲気を楽しんでもらうイベント。相場よりもかなり価格を抑えたところで落札できるようにするので、絶対お得」と胸を張る。
また、同市場出荷協議会が十数台の軽トラで出店。トマトやキュウリ、ナス、ピーマン、タマネギなどをお得な価格で販売する。同市場は、「流通に乗っていない分、鮮度は抜群でおいしい」と太鼓判を押す。また、地域の商店などがパンや弁当、ポン菓子、雑貨、花などを販売し、花を添える。
2018年、地方卸売市場「篠山魚市場」が閉場したことを受け、生産者や仲買人らが新たな市場を再興。一般社団法人「丹波篠山市場」が運営しており、再開当初、百数十人だった出荷者は370人にまで増えた。少量の野菜なども受け入れ、中には「キュウリ1本」の出荷もある。出荷者同士が世間話に花を咲かせ、「今、何作ってるん」「肥料は何使う?」などと語り合う姿もあり、多くの人が集うコミュニティーの場にもなっている。
同法人代表で、出荷協議会長でもある稲川茂樹さん(76)は、「お得に品物を買ってもらい、お客さんに喜んでもらうことで、市場や仲買人もさらに盛り上がる。ぜひ市場を見に来てもらいたい」と笑顔。市場長の井関利昭さん(65)は、「過疎化の中だが、皆さん良い野菜を作っておられる。出荷に関心を持ってもらうためにも、一度足を運んでもらえたら」と話している。