画家 尾松正憲さん(丹波市)

2023.04.30
たんばのひと

尾松正憲さん

生きる喜びを絵画に

生まれつき、脳性まひの重い障がいがありながら、熱い思いで絵の創作を続けている。今年2月の「丹波アート・コンペティション」で、F30号の油彩画で大賞に次ぐ優秀賞を受賞した。
「むかしの丹波」と題した受賞作は、緑色をベースにした抽象画。「何が描いてあるかは見た人に任す」と力を込めた筆談で語る。
自立生活をしたいと、施設を出て、市島町内の県営住宅で一人暮らしをして21年目。絵を描く場所は、ブルーシートを敷いたベッドの上だ。電動車いすを操作してキャンバスに向かい、動かせる指の間にヘラを挟んで絵の具を伸ばしていく。
油絵の具は乾くまでに時間がかかることもあり、今は年に4枚を仕上げるペース。「来年のアートコンペに向けて、もう取りかかっている」
絵はもともと好きだったが、施設で暮らしていた時、画家の大槻博路さん(福知山市大江町)の指導を受けるようになったことが大きな転換点に。見たままではなく、心の中の思いやイメージを心象風景として表現するようになった。明るい色使いと、モチーフをポップに描く作風が特徴的で、「見た人に楽しい気持ちになってほしい」との思いが伝わる。
2017年には、大槻さんらが「尾松正憲と仲間たち展」を企画。綾部市のグンゼ博物苑集蔵で開かれた同展には、約300人が訪れたという。尾松さんは、F100号の大作を25点出品した。
美術団体「新槐樹社」会員。毎年、同会展に出品しており、5月9―14日、京都市美術館別館で開かれる京都展に展示される。丹波市市島町南出身。73歳。

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