兵庫県丹波篠山市出身で、プロ野球・千葉ロッテマリーンズに所属する中森俊介投手(21)が23日、ZOZOマリンスタジアム(千葉市)で行われた福岡ソフトバンクホークス戦でプロ初先発を果たした。持ち味の落ち着いたマウンドさばきを見せるも中盤につかまり、5回4失点で降板。チームは5-9で敗れて負け投手となり、ほろ苦い結果になった。地元の丹波篠山市では、中森投手の後援会がパブリックビューイングを開き、市民らが遠く離れた地から声援を送った。
一回表、プロ入り前から「対戦してみたい打者」に挙げていた球界屈指の強打者・柳田悠岐選手と初対戦。セカンドゴロに打ち取り、三者凡退で上々の滑り出しを見せた。
二回表の1死一、二塁のピンチでは、7番・栗原陵矢選手の投手を襲う打球に好反応を見せ、1―6―3のダブルプレーで切り抜けた。三回表は危なげなく三者凡退に抑えた。ロッテはその裏、4番のグレゴリー・ポランコ選手が2試合連続となるホームランを放ち、1点を先制した。
続く四回表、柳田選手のヒットなどで2死二、三塁のピンチを迎えると、6番・中村晃選手に147キロの低めのストレートを捉えられ、右中間へ痛恨の3ランホームランを浴びた。
2―3で迎えた五回表、打ち取った当たりが野手の間を抜けるヒットに、ファーストのフィルダースチョイスという不運が重なり、1点を失った。しかし、後続の4番・近藤健介選手をダブルプレーに打ち取り、最少失点で乗り切った。
74球を投げて被安打は5、与四死球は3、奪三振は1だった。
中森投手は「打者1巡目までは本来のピッチングができていたが、2巡目に入ってからは球質が変わってしまった感覚がある。抑えたい場面で四球を出してしまったり、長打を打たれてしまったりした」と悔やんだ。
吉井理人監督は「3点を取られるまでは投げてもらおうと思っていた。よくがんばった」とねぎらいながら、「課題はたくさんある。先発をやる上でのゲームプランの組み立てはこれから勉強」と求めた。
◆故郷ではパブリックビューイング企画 市民ら声援送る
パブリックビューイングは、中森投手の初先発を記念して企画。会場となった四季の森生涯学習センターには、市民を中心に約70人が来場。中森投手のタオルやフラッグなどを手に応援した。
後援会事務局長の細見英志さんは 「プロ投手として先発まで任せられるような選手になってくれてうれしい。3回までいい ピッチングだったので、次のチャンスをもらった時に期待したい」と話した。
プロ入り3年目の今季、初めて開幕1軍入りし、開幕戦のソフトバンク戦でプロ初登板。4月5日の北海道日本ハムファイターズ戦ではプロ初勝利を挙げた。
3、4月に中継ぎとして計5試合に登板。同17日に1軍登録を抹消された後は、2軍で先発として長いイニングを投げる調整を行ってきた。直近3試合で計18イニングを投げて無失点という結果を残し、1軍での先発のチャンスをつかんだ。
◆中森俊介(なかもり・しゅんすけ)◆ 右投げ、左打ち。身長182センチ、体重90キロ。背番号56。福住小学校時代に「多紀野球少年団」に入団。篠山東中学校では軟式野球部に所属し、3年夏からは兵庫県三田市の硬式野球チーム「三田ボーイズ」でプレーした。同県立明石商業高校では、春夏合わせて4回甲子園に出場。2年時には春夏共にエースとしてチームを4強へ導いた。2020年のドラフト会議でロッテから2位指名を受けた。21年には「丹波篠山ふるさと大使」に就任した。