JR西日本が赤字路線と公表した、兵庫県にある加古川線の谷川―西脇市区間の維持、利用促進を進めようと、丹波県民局と地元の久下自治振興会(同県丹波市山南町、清水邦泰会長)がタッグを組み、同線の久下村駅で初めてのイベント「久下村夜市」を開いた。同駅前の芝生広場にキッチンカーや同自治振興会などが屋台を出店し、多くの人出でにぎわった。同線を利用しての来場を呼び掛けたこともあって、イベントの開始直前に久下村駅に到着した谷川駅発の一両編成車両は満員状態。西脇市方面からも多くの同市民らが来場した。会場に訪れた約600人のうち、270人ほどが同線を利用した。
同自治振興会は、ちらし寿司やかき氷などを販売。地酒コーナーや地元店舗によるブースなどもあり、いずれも盛況。同線を利用した来場者には、久下村駅を降りたところで抽選券を配布し、景品や夜市で使える金券と交換する特典も付けた。
JR西日本は昨年、ローカル線のうち特に利用が少なく採算性の悪い区間を公表し、加古川線の谷川―西脇市区間が含まれた。こうした現状を受け、県民局は、平均勤続年数5年の若手職員5人による「ユースチーム」をつくり、同線の利用促進を考えた。
ユースチームは「リレーマルシェ」と題し、同線の駅でイベントを開催することで、利用促進と地域の賑わい創出につなげたいと、地元の同自治振興会を交え協議を重ねた。
メンバーのひとり、後藤大雅さん(23)は、「親戚が久下村駅の近くにいる。地元の活性化に携わりたいと思い、ユースチームの応募に手を挙げた。催しを開くことで、久下村駅が脚光を浴びれば」と話す。
清水会長(71)は「すごい盛り上がり。電車も満員だった」と目を丸くし、「地元としても加古川線活性化のイベントを秋に計画している。その起爆剤になったのでは」と笑顔を見せた。
同線を利用して来場した同県西脇市の片山象三市長は、「加古川線の維持、利用促進は西脇市にも関係した課題。地元住民も一緒になって、楽しみながら盛り上げようとする試みがすばらしい」と話した。丹波市の細見正敏副市長は「加古川線は財産。かわいがり、守り、育てていくという気持ちが大事。今回は久下村駅に集い、楽しむ場をこしらえてもらえてありがたい」と話していた。