2004年に脳出血で倒れ、右半身まひの後遺症がある浅香俊一さん(75)=兵庫県丹波市山南町=が、リハビリのためにと描き続けてきた絵葉書や色紙絵、絵を添えた霊場巡りの記録などをまとめた作品集「浅香俊一 愚作集―俊一 第二の人生ありのままに」を製作した。描き始めた頃から昨年に至るまでの作品を掲載し、季節や話題の人などを題材にした200点ほどが色鮮やかに紙面を彩っている。「行き当たりばったりに描いてきたが、その時々で出合う題材を描き続けたい」と話している。
A4判カラー234ページ。06年3月、裏庭に咲いていたスイセンを表現した初めての作品を最初に載せ、最も多く描いてきた色紙絵にページの大半を割いている。
ホトケノザやスミレ、コスモスなどの花々や、ひな人形や七夕飾り、秋祭りなどの季節の風物詩を表現した作品、スポーツで活躍した選手のほか、話題になった漫画キャラクターの絵など、あらゆるものを題材に顔彩などで表現している。
8年かけて満願成就した西国三十三所霊場巡りの記録も掲載。寺院や仏像の絵を添え、旅の思い出としている。仲間と結成したハーモニカグループ「ステッキーズ」の歩みも載せた。
氷上郡(現丹波市)時代の19年前、旧山南町の総務課長として出席した、丹波市合併に関する最終会合が終わった後、突然倒れた。まひがある右手のリハビリにと絵を描き始めたが、帯状疱疹による痛みなどが加わった。以降は左手で描き続け、作品集に掲載している作品のほとんどは左手によるもの。
通っている「通所介護 心」(同市柏原町)に自作品を毎月初めに届けるのがライフワーク。新聞や広告、画集のほか、友人が「これを描いてみたら」と提案してくれるものを題材にする。「なかなか題材が決まらないときがあって。そこが悩ましい」とほほ笑む。
本にしたのは、懸命に描いた作品を、孫たちに鮮やかな状態のままで残したかったことと、支えてくれた人へのお礼と感謝を伝えたいとの思いからという。「孫たちには、『こんなおじいちゃんがいたんだよ』と、その子どもたちに伝えてくれたら」と話している。