兵庫県丹波篠山市栗柄地区で開かれた「ふれあい祭り」の中で、20年前に住民らが埋めたタイムカプセルが開封された。最愛の家族に宛てた手紙や写真のほか、当時の自治会から現在の自治会への手紙や資料など、さまざまな思い出がお目見え。住民たちは、「懐かしいなあ」「意外と早かったなあ」など、さまざまな話題に花を咲かせ、“あの頃”に思いをはせながら親睦を深めていた。
タイムカプセルは、市営斎場の誘致を機に、集落内にあった墓地を1カ所にまとめた「栗柄霊苑」の完成イベントで2003年11月1日に埋められた。開封は20年後に設定していた。
20年ぶりに日の目を見た手紙や写真。「めちゃくちゃ若いわあ」と笑い合ったり、妻や子どもたちに宛てた手紙を読み返したりし、「泣きそうや」と目を赤くする人もあった。
当時の自治会役員は、03年には霊苑の完成や、ダム(栗柄ダム)予定地の売却承認調印式など自治会にとって大きな変化があったことのほか、少子高齢化で伝統行事の維持を憂う気持ちをしたためながら、「20年後に開けるということで、どんな状況になっているか想像もつかない。願わくば、みんなで助け合い、支え合う、住みよい地区であってほしい」と願っていた。
03年にリーグ優勝を果たした阪神タイガースの特集雑誌を入れていた石田肇さん(70)は、「タイムカプセルを開けた今年もリーグ優勝。20年前とオーバーラップして、何か不思議な縁を感じる」とほほ笑んでいた。
家族との写真に、「若い頃の自分にほれぼれする」と笑っていた西澤和也自治会長は、「斎場や霊苑、ダムなど、先人の努力のおかげで今の自治会があると改めて思う。次の世代にもつないでいかないと」と気を引き締めていた。