兵庫県丹波市青垣町の畑田希咲さん(20)が、競艇・兵庫支部に所属するボートレーサーとしてデビューを果たした。倍率23・4倍の”超狭き門”を突破し、福岡県柳川市にある養成所で「ずっと泣いていた」と言うほど過酷な一年間の生活を乗り越えた。「強くなりたい。元気を届けられるように」と瞳を輝かせる。ボートレーサーは全国に約1600人いるが、女性選手は2割程度。兵庫支部は68人中8人。
先月10―15日の「にっぽん未来プロジェクト競争in尼崎」でデビュー。8レース中、最下位の6着が6回で、先輩選手とのスピードの差を痛感した。選手として一歩目を踏み出したばかりで、勉強の日々を送る。
料理人を目指して福知山淑徳高校(京都府福知山市)に入学し、調理師免許を取得した。地元の佐治小学校では水泳と柔道を経験。青垣中学校ではソフトテニス部に所属と、身体能力は高く、高校3年の夏には、体育のソフトボールの授業で教諭から”スカウト”され、高校女子硬式野球の連合丹波チームに選ばれた。
「元々体を動かすのが好き。スポーツもしたい」と進路を模索する中、ボートレースのバラエティー番組「ボートの時間!」(サンテレビ系)に出演する女性選手、来田衣織さんの姿が目にとまった。「レーススタイルがかっこいい。元気で明るくて、こっちまで元気をもらえる」と憧れを抱いた。
男女関係なく戦えることも魅力に感じ、ボートレーサーの道を志した。学科や体力の試験、面接などがある養成所の入所試験は2回目の挑戦で合格し、1216人中、52人が133期生として門をくぐった。
養成所では毎朝6時に起床。ボートの操縦から整備まで、ありとあらゆる技術と知識がたたき込まれる。携帯電話は持ち込めず、自己管理の徹底が求められる。「楽しかった思い出もあるけど、もう入りたくない。特に勉強が得意じゃないので、学科試験の赤点回避に必死でした」と苦笑する。
下宿生活でホームシックになり、毎日のように涙を流したという。そんな中、毎週3分だけ許される電話で話す家族からの励ましの言葉と、手紙が力になった。「両親(父の有軌さん、母の久美さん)はいつも気にかけてくれて、助けてもらっている。改めて感謝を伝えたい」とはにかむ。
「最終的には尼崎で一番強くなり、賞金女王になりたい。近い目標はB1階級に上がること」と夢を描く畑田さん。「元気さを忘れず、強気でびびらずにレースに臨みたい」と闘志を燃やしている。
同期に丹波篠山市出身の山下智己選手がいる。