ジュエリー工房「Pierre et Okustat(ピエール・エ・オクスタット)」(兵庫県丹波市柏原町柏原)を開いている三栁竜子(みやなぎ たつこ)さん(42)は、名前の「竜」にちなみ、「タツノオトシゴ」をモチーフにしたジュエリーを作り続けている。刻印も、工房のシンボルマークもタツノオトシゴで、まるで“分身”のようだ。
タツノオトシゴとは長い付き合いの竜子さん。子どもの頃から、「竜」を意味する「ドラゴン」よりも、かわいらしいフォルムの「タツノオトシゴ」に親しみを感じ、タツノオトシゴのグッズを集めたり、自分の名前代わりのマークに使ったりしていたそう。彫金教室に通っていた高校時代にデザインしたジュエリーには、すでにタツノオトシゴデザインのものがあった。
現在、作っているタツノオトシゴジュエリーは、ペンダントトップやピアスなど。また、工房のジュエリーの中で、スターリングシルバー、18K、プラチナ950の3種類の金属で作ったものにだけ「工房の宝物」(竜子さん)であるタツノオトシゴの刻印を押す。約2ミリの小さなタツノオトシゴマークは、工房のブランドを背負っている。
共にジュエリーを制作している夫のピエール・ジンマーマンさん(43)=カナダ出身=は、「タツノオトシゴは、ジュエリーを生業にしたいという、(竜子さんの)夢のシンボルだと思っている」と優しい眼差しを向ける。
工房名の「ピエール・エ・オクスタット」は、「ピエールと竜子」の意味。「Okustat」はフランス語の響きのようにも聞こえるが、実はローマ字の「tatsuko」を逆さにしたもの。名前に愛着のある竜子さんならではのお茶目なセンスが現れている。
カナダ・ケベックシティーから夫婦で丹波市に移住し、工房を立ち上げて約1年半。竜子さんは「私の干支は酉なんですが、酉年よりも、辰年の方が自分の年のような気がします」とほほ笑み、「新しいチャレンジもして、竜のように飛躍の年になれば」と話している。