兵庫県丹波市の柳川幸代(さちよ)さんが今月に97歳の誕生日を迎え、103歳の夫、忠司さんと合わせて200歳となった。25日には、子どもからひ孫まで親戚26人が同市内の割烹料理店に集い、節目の長寿を盛大に祝った。口数こそ多くないが、けんかはほとんどしたことがないというおしどり夫婦。戦後間もない頃に結婚し、苦楽を共にしてきた78年の歩みを振り返り、互いへの思いを改めて告白し合った。
長女の弘子さん(76)と、次女の恵子さん(74)、長男の拓三さん(69)が企画。記念写真を撮ったり、孫家族から手編みの帽子や手紙といった心温まるプレゼントが贈られたりした。2人が、孫やひ孫からの質問に答える時間も設けた。
「元気で長生きする秘訣は」と問われると、「おばあさん(幸代さん)の1日3度の食事が第一」と忠司さん。好物は肉料理という。幸代さんは「どんなものでも喜んで食べること」と答え、食事の大切さがうかがえた。
馴れ初めについて、忠司さんは「結婚するまで出会ったことはなかった。仲人から写真を見せられ、初めて『この人が妻になる』と知った」と明かした。幸代さんは「食料も何もない状態で、人力車で嫁いできた」と記憶をたどった。
忠司さんに対して幸代さんの良いところを問う質問には「何にでもこまめに気がつくところ」と回答。夫婦円満の秘訣は「何を食べても不足なく、おいしくいただくこと」(忠司さん)と言い、幸代さんは「そんなこと言われたら、これからよりごちそうせな」と苦笑していた。
「大事な人やと、いつも心に思っている。おじいちゃん(忠司さん)が元気でいてくれるから、私も元気でいられる」と幸代さん。「『行雲流水』の言葉のように流れに身を任せ、これからも二人で、ゆっくりと暮らしていきたい」と話していた。
◆年齢重ねてもアクティブな毎日 「何事にも前向き」
1946年に結婚。忠司さんは幸代さんに支えられながら、柳川商店(現・やながわ)の3代目として、当時の主軸だった製茶業に注力した。
年齢を重ねてもアクティブな毎日を送る2人。忠司さんは囲碁の”現役プレーヤー”で、同好会の仲間いわく、実力は今なお向上中という。やながわの会長として、会社の経理業務も担う。幸代さんは墨絵や花の世話などの趣味を持ち、忠司さんのために毎日のように料理を作っている。
やながわで代表を務める拓三さんは「互いに干渉することなく、何事に対しても前向きで意欲がある」と評し、「2人合わせた200歳を通過点として、次は結婚80年目の『樫婚(かしこん)式』を目指して」と伝えていた。