店舗改築でまちづくり
手で作ったものを大事にするという意味を込めた「アート・クラフト・デザイン」をコンセプトに、近年、丹波、北播地域などで、新たな価値を加えたリノベーション店舗を次々と設計している。丹波市氷上町の「ヱビスシネマ。」、同市春日町の「純喫茶国領」、同市氷上町の「フロッピーバーガーハウス」、同市市島町の洋菓子店「トロワスール」などが一例だ。
肌ざわり、質感、配色など、細部に気を配り、「心地よい空間」の創造を目指す。とりわけ好きな素材は銅板で、「寺の屋根など、青緑色に変色していく姿が美しい。年月がたつと風合いが変わっていくところにひかれる」。
リノベーションは毎回、依頼者と相談してテーマを決める。「ヱビスシネマ。」は「ここにしかない映画館」を目指し、丹波の山の重なりをイメージし、客席は曲線状のグリーンに。純喫茶国領は、「アバンギャルド」のテーマに合わせ、飲食店ではあまり使われない翡翠色を壁に使った。トロワスールは、ケーキを作品に見立てた「美術館のようなお店」のイメージを持ち、照明などにもこだわったという。
建築を学ぶ学生たちとの関わりも深く、丹波悠遊の森のキャンプ場でツリーハウス作りを指導したり、居住問題に取り組むボランティアサークルに技術を教えたりもしてきた。
5年ほど前からうつ病を患い、体調が思わしくないことも。それでも、信念に基づいた仕事に魂を込め、「建築と不動産、まちづくりを合わせてやっていく」と熱く語る。細見工務店代表取締役。54歳。