「きもののほそみ」などを展開する細見互福グループ会長の細見拓三さん(72)=兵庫県丹波市春日町=が、厳しい和装小売り業界を生き抜いてきた経験を生かし「不倒の会社をつくる」ノウハウを伝授するビジネススクールを開講する。経営者や後継者らの受講を募っている。
父が1960年に衣料品店を開業。細見さんは、京都の呉服問屋で修業した後、兵庫県氷上郡の郷里に戻り、27歳で後を継いだ。最盛期の年間売り上げが2兆円あった着物業界は現在、2800億円ほど。細見さんが家業に入った当時、郡内に70店あった同業者のほとんどが廃業した。京都府北部、県北部の範囲でも「地場資本で続いている同業者は数軒」(細見さん)という厳しい経営環境を、「変わる」ことで生き抜いてきた。
総合衣料品店、婦人服専門店、ハイミセス専門店、ギフト店、寝具店、葬祭業、リサイクルブティック、インターネット通販などを手がけ、現在営業しているのが、祖業の着物の専門店と写真スタジオ。着物専門店ながら、呉服に関係する宝飾、はたまた眼鏡、健康商材まで、取り扱う商品を広げ、時代に合った小売業の模索を続けている。
自身が7、8年受講している「藤屋式ニッチトップ戦略」のフランチャイズ教室。今年2月から、着物の専門店小売グループ「日本きものシステム協同組合」(京都市)の加盟社の後継ぎに経営塾を開いており、地元でも開くことにした。
経済学者、ピーター・ドラッカーの考え方を踏まえ、「財務とマーケティングと人材育成」を肝に据え、教える。「私はコンサルタントでも、税理士でもない。実務家として成果を挙げてきた。小さな資本の会社は、人、物、金、情報をどこに集中させるかが特に重要。自社に強みがあるから今も残っているが、それが何かが当事者は分からない。塾で学べば分かるようになる。磨いてさらに良くしていきましょう」と話している。新規事業を検討中の人らも受講できる。
月1回、6回予定。説明会を24日午後1―3時、ゆめタウンポップアップホール1階(丹波市氷上町本郷)で開く。