兵庫県丹波市で、市内小中学校の学校給食のパンの提供が今年度、中止になっている。昨年度までは週1回提供されていたが、納入できる業者がなくなったため、麺など特別な日を除き、主食は全て米飯となった。同市教育委員会は「パンが好きな子もいるので、回数は少なくなっても何とか提供してあげたい」と頭を悩ませている。
学校給食のパンは、市が年度ごとに県学校給食・食育支援センター(同県加東市)と契約を結んで仕入れている。丹波市内の2社が納入していたが、昨年8月末で1社に減ったため、県内のパン業者に約半分をカバーしてもらう形になっていた。しかし、市内のもう1社も昨年度末で廃業したため、4月以降は供給の見通しが立たなくなった。
「揚げパン」が特に子どもたちの人気が高く、「せめて学期に1回の揚げパンだけでも実現したい」と、市教委は模索する。
同センターによると、米飯を増やす自治体が増えたことや児童生徒数の減少で採算が合いにくくなったことなどにより、県北部と淡路地域には、学校給食の製パン業者がなくなっているという。新たな提供先が見つかったとしても、今まで以上にパンの配送コストがかかってしまうことになる。
一方、米飯給食の米は全て丹波市産のコシヒカリ。図らずも、「地産地消」が進んだ形になっており、稲作が盛んな同市においては、米飯が増えることはプラスの側面もある。また、パンは有機米より高いため、給食費の無償化や有機米の導入が議題に上がる中、市教委はパンの回数を減らす検討をしていたという。