土の悩みをプラスに 屋根土や壁土を再利用 専用機械で中間処理

2024.06.16
地域注目

屋根土や壁土を中間処理し、三和土などとして生まれ変わらせる事業を始めた荻野社長(左)、「KAITAC」の相根代表(中央)と村上立樹さん=兵庫県丹波市春日町野村で

兵庫県丹波市の荻野製瓦工業(荻野高広社長)が、建築物を解体したときに出る屋根土や壁土を有料で引き取り、「つなぎ」として混入しているわらなどを専用機械で取り除く処理をした上で、和製コンクリートとも呼ばれる固い土「三和土(たたき)」など、新しい使い道を持たせた土に生まれ変わらせる新規事業を始めた。駐車場やのり面などに敷設し、防草としての使い道を想定している。同社によると、わらが混入した屋根土や壁土の再利用は難しく、人体や環境に悪影響を及ぼす産業廃棄物として処分せざるを得ず、処分は業界では悩みの種という。同県から産廃中間処理業の許可を得た荻野社長(45)は、「わらを分別するのは、おそらく日本初の許可。丹波発で全国展開できれば」と青写真を描いている。

「ツチプラス」の事業名で展開。同社の敷地内にある、改装した建屋で処理を行う。もともと他社が所有していた、本来は切り株と土を分別するための機械を購入して部分改良した「廃土選別装置」を使う。

導入した廃土選別装置

機械の振動により土とわらに分け、土はさらに細かくする。ここに真砂土と石灰を混ぜて三和土に仕上げ、新たな命を吹き込む。処理後の土や、三和土は販売している。

同事業は、解体業「KAITAC」(同県三田市、相根明正代表)と連携して取り組む。両社は以前、現場を共にしたことがあり、土の処分という共通した困り事をビジネス化できないかと検討を重ねてきた。事業が軌道に乗れば、別の会社を立ち上げることも考えている。事業に関する費用は、いずれも経済産業省の事業再構築補助金を活用した。

装置投入前の土(左)と、さらさらに処理された土

荻野社長は「手軽で信頼できる土の処分の仕組みを確立したかった。ゆくゆくは、三和土の施工まで手がけることができれば。三和土以外の使い道も研究したい」と話している。

屋根土と壁土は、フレコンバック1袋から受け付けており、県内限定で引き取りや持ち込みに対応する。見積もりや費用など詳細は「ツチプラス」で検索を。

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