母国のアメリカ・フロリダ州で初めて酒蔵を造ったハイダー・ヘッシュンさん(35)が、日本酒造りの国際最高資格「マスター・オブ・酒」の取得を目指し、創業175年の老舗酒造会社、西山酒造場(兵庫県丹波市市島町中竹田)で研修している。蔵人と共に日夜、洗米やこうじ造り、米と水、こうじを混ぜる作業などに励んでいる。今月末に修了予定。
同研修は、世界中で日本酒の教育、普及に取り組む「酒ソムリエ協会」の主催。醸造所に2カ月間滞在し、酒造りを実践的に学ぶ。
同酒造場が、同研修生を受け入れるのは昨年に続き2人目。2014年から同協会と連携し、今回の研修とは別の、日本酒造りを学ぶ「酒ソムリエ上級コース」の研修生も受け入れている。
ヘッシュンさんは2020年に妻と一緒に酒蔵を立ち上げた。「労力を注いだ分だけ美しく、繊細な酒ができる」と酒造りの魅力を語る。西山酒造場に対しては「手作業による昔ながらの醸造を行っている。全ての部署に男女の従業員がいて、包容力がある。歴史があり、先進的」との印象を抱く。
醸造について日本語で書かれた「厚さ3センチほど」の膨大な論文を英訳するほど研究熱心という。「面白いことに、丹波とマイアミの気候は似ている。マイアミに戻ってもこうじを自分で造り、日本酒の製造、販売を広げたい」と夢を描く。