スマートフォンで身近な昆虫の写真を撮影している昆虫愛好家の能口奨さん(57)=兵庫県丹波市青垣町=が、県内にしかいないとされる外来昆虫キベリハムシを遠阪川沿いで捕まえ、近くの自然体験施設「青垣いきものふれあいの里」(同町山垣)に持ち込んだ。黄色い体と青藍色に輝く羽のコントラストが美しく、「歩く宝石」とも言われる。同施設で9月1日まで開催中の「昆虫展」で展示されている。
小型のコガネムシくらいの大きさ。単為生殖で、雌だけで繁殖する。成虫も幼虫もサネカズラの葉を食べる。幼虫も黄と青紺色。今の時期に成虫になる。
明治―大正時代の始めに神戸港に上陸した外来種。丹波市では1949年に篠ヶ峰で確認されたのが最初。兵庫県立人と自然の博物館(三田市)の八木剛主任研究員によると、問題視される外来種のヒアリやクビアカツヤカミキリと異なり、人や環境に悪い影響を与えない「ひっそりおとなしい虫」。飛翔力があまり強くなく、人目につきにくい。食草がある所でないと見られないという。
能口さんは、県内にしかいないこの虫を撮影しようと、3年前に探し始めた。2年続けて幼虫を確認した場所が青垣町内にあったが、昨年は確認できなかった。11日、たまたま「何かいないか」と目をやった草に成虫が2匹とまっていた。近くにサネカズラが生えていた。
能口さんは、「いるのが分かっていて、見つけられなかった。うれしい」と、捕獲の喜びを語った。
キベリハムシのように、狙った昆虫を探して撮ることもあるが、普段は散歩をしながら目についた昆虫を撮っている。先月は同施設のフィールドで、県レッドリストAランクに指定されており、県内で絶滅の危機にひんしているアカマダラハナムグリを撮影した。
「昆虫は種類が多く、身近にたくさん見たことがないのがいて、面白い」とはまっている。「この夏はカメムシが多く、甲虫が少ないかなという印象」を持っている。
昆虫展は、標本約100種のほか、世界最大のカブトムシ、クワガタなど生体十数種を展示。入場無料。