JR西日本が赤字を公表した、兵庫県の加古川線(西脇市―谷川駅間)の維持と利用促進策を検討するワーキングチームの今年度初会合が、同県丹波市で開かれた。JR西日本は「(同駅間は)鉄道というインフラ装置に対し、あまりにも利用が少ない」とし、来年の大阪・関西万博が同駅間の利用客増につながらなかった場合、「この地域にふさわしい公共交通の在り方を議論したい」と、林時彦・丹波市長、片山象三・西脇市長に求め、了承を取り付けた。
両市長やJR西日本近畿統括本部の國弘正治・兵庫支社長、県、交通事業者、観光事業者、住民代表が出席。昨年度に実施した同駅間の利用促進事業の結果や、今年度の取り組みを確認した。
今後も引き続き、利用促進策に力を注ぎたいと主張した両市長に対し、國弘支社長は、これまでの利用促進事業を評価しつつも、「その取り組みがあってなお、この状況。(イベント実施時は利用客が増えるが)翌日以降の利用は普段通り」と指摘した。
加えて、人口減少やマイカー利用がさらに進むと考えられる社会状況を挙げ、「(利用客の)減少傾向は続いていくと思っている」「鉄道の特性を発揮できる水準とは程遠いのが現実」とした。
効果的な利用促進策を模索することに加え、「西脇市―谷川間がこのままでいいのか、在り方の議論を開始していく時期ではないか」と主張。実施中の加古川線全線開通100周年にちなんだ事業や、来年の大阪・関西万博を誘客のチャンスと捉える両市長に対し、「そのチャンスを経てもなお、利用の増加に向けた勢いが認められない場合には、在り方の議論の開始に応じていただきたいと切に願う。いかがか」と迫った。
林市長は「その時になって考えようということは了解した」、片山市長は「(両駅間の)廃止を前提としなければ」と返した。
会合後、取材に応じた國弘支社長は、「(両駅間の)存廃の前提を置かずに在り方を議論したいということ」とし、「議論することに、両市長に同意していただいたものと受け止めている。(議論をするかどうか判断する)時期を明示されたのは画期的だ」と話していた。