兵庫県丹波市は、市が設けるテーマに対し、市民がオンラインで気軽に意見やアイデアを投稿できるツール「Liqlid(リクリッド)」の運用を始めた。スマートフォンやタブレットなどを使い、いつでも、どこでも、誰でも意見を届けることができる。メールなどとは違い、ほかの投稿者の意見を見ることができたり、共感したことを示す「いいね」をタップできたりする。市は施策をつくる上で参考にするほか、市民の意識調査などにも活用する。全国の自治体で導入する事例が増えており、県内では高砂市に次いで2例目。
株式会社「Liquitous(リキタス)」(本社・神奈川県)が開発した市民参加型プラットフォーム。ネット上に市民が意見を自由に書き込める場を設け、イラストや写真も投稿できる。投稿はニックネームや匿名でもよい。1つのテーマに対し、複数のグループに分かれてアイデアを出し合うこともでき、意見交換をする機能も搭載されている。
市民から意見をもらう場としていた市政公聴会では、日程が合う人でなければ意見を市に伝えられないデメリットがあった。リクリッドで一度でも投稿すれば、市が新たに別のテーマで意見を募る際には、その内容がメールやラインで自動配信されるため、継続的にまちづくりに関われるメリットがある。
市はこのほど、若い世代にリクリッドを活用して考えを伝える体験をしてもらおうと、同市の春日中学校で路線バスの利用客を増やすためのアイデアを募る出前授業を行った。2年生が市の公共交通の利用状況や課題などを学んだ後、「みんなのアイデアを市に届けよう―路線バス乗客アップ作戦」と題し、路線バスの利用者を増やすためのアイデアをリクリッドで投稿してもらった。
それぞれのタブレット端末で、「バスの中で映画を放映する」「バスに乗るとポイントがたまり、お得なクーポンがもらえる」など、自由な発想でアイデアを投稿した。
生徒の一人は、「自分の意見を簡単に届けられるのはいいなと思った」と話す。別の生徒は「人前で意見を言うのが苦手なので、デジタルならしっかり考えを伝えられるのがいい。自分たちのアイデアで丹波市が良くなるとうれしい」と話していた。
各計画策定時のアンケートや、パブリックコメントにも活用もする。テーマは未定だが、今年度中にふるさと住民を対象に意見を募る計画。来年度、本格的に活用を図る。